どこでどのように話すか、について

例によって雑駁なメモ。前に書いたことと重なるかもしれないがその点はご容赦を。例によってこちらの経験に基づく感想なので、異論などがあり得ることはご留意あれ。

 

いつぞやの呟きで、弁護士が依頼者の元に行くことや時系列のまとめを依頼者が整理するのではなく弁護士が聞き取ることを唱道しているかのごとき言説に接したのだが、やや疑問に思ったのでメモしておく*1

 

企業であっても個人であっても依頼者が弁護士に相談をするというのは、相談の内容も無闇に、当事者以外に聴かれたくはないだろうし、相談をしていることそれ自体を秘匿しておきたいこともあるだろう。そういう場合に依頼者のところに弁護士が行くとしても、行った先で秘密裏に打ち合わせができるのか、というところの検討なしに行くのは危険だろうし、その点が確保されないことも多いだろう*2

 

また、弁護士とわからなくても*3、「よそ者」が来ていることそれ自体から、外部に何かを察知される可能性も否定できないように思う*4

 

資料や出来事の時系列の整理についても*5、事前に依頼者側でしてもらうことで、打ち合わせの効率化という面に加えて、特に感情的になっている場合には、自身の気持ちの整理がつくという面があるので、事務所に足を運んでもらうことや、資料や出来事の整理を自分でやってもらうようお願いすることが依頼者第一主義なるものに反するというような単純な話ではないのではないように思う。

*1:言説に接した直後に書こうかと思ったが、状況を見て、数日置くことにした次第

*2:その意味で企業内では法務部門で自由に使える専用の打ち合わせ室があることは必要な気がするし、その部屋に入るための動線についても、他人の目に触れにくい方が良いという議論はあるだろう。

*3:バッチとかをしているのはその意味でも危険。初職の法務部では、特に裁判所に傍聴に行くときは、所属が推認されるようなものは持っていくなという指導があった。なので、僕は社章もつけなかったし、会社名入りの手帳を支給されても使わなかった。社名入りの封筒とかも持たなかった。

*4:4社目の時に製造現場に行くと、「法務の人が来てるということは何かあったんですか?」と聞かれることもあった。そういうところから何かを察知しようとする人はどこにでも一定数いるものと考えるべきだろう。

*5:人物関係を図示したものを準備してもらえると相談がスムーズにいくこともある。