写大ギャラリーの掲題の展覧会を見てきたので感想をメモ。
チラシと葉書。
この状況下で、第二次大戦後の本邦の占領下の状態やその後の平和を写真で振り返るということは、意味があるのではないかと感じる。特に、昨今の状況の下で聴こえてくる侵略側の国の行為と、かつてこの国を占領した国の行為とを比較すると、この国が経験したのは、極めて例外的な、幸福な占領だったのではないかという思いが脳裏をよぎるし*1、そういうものには再現性がないのではないか*2、とも感じた。
展示されているのは、日本の写真の歴史を語るうえで、欠くことのできないビッグネームの方々(と理解した)の作品が多く、写真も、名前を目にする有名な写真集からのものも含まれており(「薔薇刑」や「地図」というあたりが脳裏をよぎった)、それらがオリジナルプリント(のはず)で目にすることができて、やはり現物の持つものは、違うなという気がした。
特に印象に残ったものは次のようなものだった。
- 土門拳さんの傷痍軍人や、広島の被爆者、内灘や砂川での抗議活動の様子を写したもの*3。氏のある種の社会派的な写真については、接したことがなかったが、「絶対非演出」というフレーズの真骨頂を示したものなのだろうと感じた。
- 東松照明さんの長崎関連の写真。こちらも、実際の写真には接したことがなかったので。崩壊した浦上天主堂の天使像の写真にはどきっとした。
- 森山大道さんの写真は、ヨコスカものは、見たことがあるものもあったが、「アクシデント」シリーズを見たのは初めてかもしれない。世上が騒然する様子がよく伝わってくると感じた。
- 細江英公さんの「薔薇刑」からの三島由紀夫の写っている写真は、三島由紀夫がこちらを凝視している写真は、目力の強さが印象的だった。
- この写真展の最初に飾られていた川田喜久治さんの「地図」からの写真。日の丸のディテールの迫力に驚いた。そして、この写真展の「締め」にある、川田さんの昭和最後の日の太陽の写真(「ラスト・コスモロジー」からのもの。)。この写真が「締め」とされているのは、どういう意図があるのか、と考えてしまった。