「美しき凹版切手の世界」展

見たので感想を手短にメモ。興味のある方にはお勧め、という感じか。

 

凹版印刷(銅版画の技法、という方がわかりやすいのだろうか。)で作られた切手の展覧会切手の博物館で開かれていたので見てきた*1凹版印刷は独特の質感があって、個人的には嫌いではないという程度だが、まとめて見ると、ある種の迫力を感じた。現物の拡大写真ではなく、現物を子細に眺めると立体的に感じることも出来て良い*2

 

展示について印象に残ったのは、現物の保護の観点から、やや照明が押さえてあったのと*3、原画を彫刻した人単位で展示がまとまっていたところか。彫刻した人に着目するというのは、凹版を版画とかと同じと考えると、誰が掘ったかというので差異が生じたとしてもおかしな話ではないのかもしれない。とはいえ、これまでそういうところに着目することがあるはずもない。確かに、まとめて見ると、個人差のようなものも感じなくもない(自信はないが)。彫刻者として大きく取り上げられている中では、特に、スウェーデンのチェスニス・スラニア氏の手によるものは、確かに、美しいと感じられるものばかりであった。その中でも、彫ったご本人もベストとしていた、民族音楽のヴァイオリン演奏家を描いたものは、相対的に大きな切手だったこともあり、迫力も感じられて良いと思った。

 

物理的な郵便自体を送る頻度が減っている*4ところで、切手という仕組みが今後どうなるかは、正直よくわからないところがある。それでも、こういう手技の類は、何らかの方法で残ってほしいと思う。手間暇のかかる話なので、国に余裕がないと続けることは難しいのかもしれないが、紙幣とかも共通の技術なので、少なくともしばらくの間は残るのではないかと思っている。

 

最後に展覧会の解説の中面と入館券を写真に撮ったので貼っておく。

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*1:小学生から高校生ぐらいの頃にこのあたりのオタクをしていたことがあって、最終的には、モノを集める気力と財力が足らずに足を洗ったのだが、施設自体は気になっていて、一度行ってみようと思っていたのに、これまで行けずじまいで来ていたのだった。今回の展示とは関係ないが、2階の書架には、こちらが一生懸命やっていたころの雑誌とかがあって、しばし読みふけったのであった。

*2:なお、頼むと拡大鏡を貸してくれる。

*3:浮世絵などの展示と同じと考えれば、何ら不思議はない。

*4:年賀状ですら減っているし、こちらも、終活ではないが、今年は相当削減した。