田中長徳写真展 Today Tokyo 1964/2020

チョートクさんの写真展に出かけてみた。初めてかもしれない。

 

www.gallery-bauhaus.com

 

チョートクさん(この言い方が僕にとってはしっくりくる)というと、かつてのカメラジャーナル以来、メカ寄りの印象もないわけではないというか、このハリネズミ尊師の影響で、一時期カメラオタク化していたこちらとしては、そちらの印象も強いのだが、他方で、東京ニコン日記、ウィーンとライカの日々、等のまともな写真集も手元にあってシリアスな写真家としての側面にも接してきた。

 

とはいえ、氏の個展に行くのは初めて。本日は氏が在廊ということで、氏のお姿も見れるかもしれないと思って出かけた次第。

 

ギャラリーバウハウス自体はそれほど広いところではないことは、既にロバートフランク展を見たときに把握していたので、展示されていた写真の点数がそれほど多くないであろうことは想像していた。個人的な興味は、どの年代の写真が展示されるかというあたりだった。東京ニコン日記だけでも膨大な写真が収められているし、それ以外にも、東京ニコン日記以後の20年以上の期間に撮られたものもあるだろうから、どの辺りが来るのか、というところ。

 

見てみると(細かくチェックはしていないが)、60‐70年代ごろと思しきものばかりで、最近の写真とかがないのはやや拍子抜けだが、その頃のモノクロ写真のものばかりで統一した方が展示の雰囲気は統一しやすいだろうから、やむを得ないのかもしれない。個人的には80年代以降のものも見たかったのだが。60‐70年代ごろの写真のオリジナルプリント(すべて値札が付いていた)は、モノとしての迫力を感じた。僕が物心つく前の時代の写真は、僕が知る世界とは地続きの、それでいて遠い世界のようにも見えた。まあ、40年以上の時間が経過しているのだからある意味当然のことだが。前回の東京五輪の前後の様子には、迷いのない(ここが今と異なる)祝祭的なものも感じた。

 

1階と地階からなるギャラリーの地階のテーブルに誰かがコーヒーを飲んだ形跡があり、状況から見て氏なのだろうと理解した。しばらくすると奥からチョートク氏が出てきた。これと言って話しかけるべき内容も持たなかったので、遠巻きに見ていると、氏は所在なさげにスマホをいじっていた。1階の展示を見ていると、階下から声が聞こえたので降りてみる。氏が他のお客さんと話をされていた。氏の声を初めて聴いた気がする。こういう声をしているのか、と安心したので、会場を出た。