あなたを愛さないいくつかの理由

例によって呟いたことを基に個人の感想をメモ。表題はこちらの歌をもじってみただけで意味はない。

 

きっかけはこちらの報道。

リコー、データビジネスに参入 AIでビッグデータ解析: 日本経済新聞

リコージャパンの坂主智弘社長は「年間約2000億ページにわたる文章がリコーの複合機などを通過しており、こうしたデータにAIを組み合わせることで付加価値のあるデータとして提供できる」と話す 

これを読んで思ったのは(既にその時点で他の方が指摘されていたが)、これを実際にかの会社がやったら、怖くてかの会社の複写機は使えない、使うべきではないということ。一旦かの会社の機械を通したらデータがハードディスクに残って、それがネット経由等で勝手に使われてしまったりしたら、機密保持も何もあったものではない。

 

この手の危険はそれほど新しいものではないように思う。複合機のハードディスクに残ったデータについては、以前から危険の指摘があり、こちらもエントリにメモした覚えがある。以前エントリにメモした時と違うのは、以前の時点ではハードディスクに残っているデータがdiscoveryなどで開示の対象になるという、いわば消極的な危険があったというのに対して、今回は複合機のベンダーがより積極的にそうしたデータを「活用」しようというのだから、使われ方次第では、危険の度合いは高いと見ることも可能だろう。

 

もちろん「活用」の仕方が、もともとのデータの持ち主のためだけに使われるのであれば、直ちに目くじらを立てるべき話ではないのかもしれない。しかしながら、それが継続する保証はないし、裏で他の用途に使われていないということを、商業的に費用対効果の面でも正当化される範囲で利用者側が検証できる状態が永続的に続くとは思えない。所謂GAFAですら裏でデータを抜き続けるところで、かの業者に限らず片仮名テック系の企業が同様の行為をしないと仮に約束しても、それを信用するのはあまりにもnaiveすぎやしないかと感じてしまう。仮に今やっていないとしても、「貧すれば鈍する」ではないが、将来その会社の経営が危うくなった時にその種の誘惑が生じないと断言することは困難ではないかと感じる*1

 

この辺は感じ方の問題もあるだろうから、僕とは異なる考えの人がいるのは別に驚くものはない。ただ、そういう危険があることは認識したうえで、態度決定をすべきなのではないかと僕は感じる。

 

 

*1:その意味で、それこそ、財務面では「吹けば飛ぶような」規模のベンチャーは、その種の危険が生じる可能性が相対的に高いという見方もあり得なくはないだろう