その立場の意味は

何だか良くわからないが、呟いたことを基にメモ。違和感があることについてのメモだけど、所詮一個人の感想ということで。

 

某通信会社の事故についてなかなか大変な話になっていた。こちらとは接点のない業者の話なので、こちらは単純に傍観者をしているだけだったが。現場で事態の収拾にあたられた方には、心より敬意を表する次第*1

 

この件について、かの会社の、技術者出身の社長の記者会見での対応に賞賛が集まっている。確かに、短時間のうちに十全に事態を把握し、自分の言葉で状況と今後の見通しを専門家以外に対して説明するというのは、専門性の高い分野の話では必ずしも容易ではなく、その意味では、対応が見事だったという評価は、あり得ないものではないだろう。

 

とはいえ、そこから、かの方は退任すべきではないという話になると、違和感を覚える。どこぞの無責任政権のように「責任を取ればいいというものではない」という言い方も出来るかもしれないが、やはり企業の社長の職責の一つは、不祥事に対しては謝罪して責任を取って、その地位を辞することにあるのではないかと思うからである。今回のように社会的なインパクトの大きな事案では特にその点は重要と考える。社長が変わることで変わることがあるだろうし、仮に社長を退任しても、平取締役として残るという選択肢もあるだろう。

 

それと、そもそも本当に優れた経営者ならば、何故今回のような事態を防げなかったのかというところの疑問は残るように思うところで、そうした点も含めての責任が全くなかったのかというと疑義が残る。今回の事態の原因が過去の何らかの措置の不具合によるのであれば、その当時及びそこから現在までの間、その不具合を検知するための手立てを講じられなかったのか、という点や、今回の事態において直接の原因となった対応について、今回現出したような不具合が生じないような形で作業が出来なかったのかというような点も疑問は残るものと考える。それらまで考えたら、かのトップの方が何ら責任がないとまで言い切れるかは疑問なしとは言い切れないのではないか。技術的な知見の素晴らしさと経営者の能力とは必ずしも等価ではないはずで、その両者は峻別が必要なのではないか、等と感じるところである。

*1:この点に関連して、かの通信会社は顧客との間の契約の債務不履行を生じさせているのは間違いなく、その意味でかの会社に文句を言うことは、文句を言う態様の適否を別にすれば、何ら不思議ではない。なお、企業相手に文句を言うことと、現場で奮闘された方々に敬意を表することとは矛盾せず、両立するものと考える。