本屋で衝動買いした一冊。読みやすくてすぐに読み終わった。感想をメモしておく。
本のざっくりした紹介という意味では、地方でのビジネスの支援組織のトップの方が、地域の中小企業支援を通じて地域再生を図っている中で、得られた、地方企業の方策について語る本、というところだろうか。地域再生のノウハウを伝えるべく、熱く語られていて、語られているノウハウは具体的で、説明に出てくる具体例も興味深く、引き込まれる感じで読めるのは良いと思う。
東京生まれ東京育ちで大学出るまで東京以外に住んだことがないので、地方の状況は正直ピンとこないし、地域再生の必要性についても、実感が湧かない。そういうこともあって、いくつか特に印象に残った点だけメモしておく。
一番興味深かったのは、支援をするうえで、相手の強みを探す、その際には、財務諸表とか現場は見ない、経営者との面談を重視し、相手企業の良いところを徹底的に探して、その際には消極的な言葉を使わない、という姿勢。著者は元銀行員で、それまでの経験から、財務諸表とか現場を見れば、あら捜しはいくらでもできてしまうだろう。マイナスを修正していくという意味ではそれは有用なのだろうが、強みを探すうえでは、寧ろマイナスという判断は、頷けるところがあると同時に、弁護士の業務上でも、必要に応じて、意識しなければならないだろうと感じた。また、消極的な言葉を使わないというのも、相談者を勇気づける(当節流行りのことばでいえばenpowermentというやつなのだろう)という意味でも重要ということも理解しやすい…が、実践は難しいと感じた。
もう一つ印象に残ったのは、中小企業が成果を上げるための3つのポイントとして、セールスポイントを見つける、ターゲットを絞る、連携する、という点を挙げていること。もろもろの資源の少ないところで、生き残るには、強みを、それが生きるところで使っていくしかなく、そのために必要な資源は中になければ外から調達するしかない、と考えれば、理解は難しくないような気がした。
いずれにしても、地域再生とか中小企業支援とかに興味があるのであれば、読んでおくべき一冊なのではないか、と門外漢なりに感じた一冊だった。