債務整理系の実務書2冊

以前相続周りの本を数冊読んでいたのと同様に債務整理周りの本も2冊読んだので,感想をメモ。現時点では,自分が直接担当している案件でこのエリアのものはないが,いつ何時来るかもしれないから…。

土地勘のある分野ではないので,何を読むかと思ったけど,TL上で,この2冊を押す呟きを拝見したので,手にとって見た次第。

自己破産と借金整理を考えたら読む本

自己破産と借金整理を考えたら読む本

 

 まずはこちら。弁護士向けではなく,債務者自身が読んでどうするか判断するという想定で書かれていることもあり,文章が平易で,字も大きい(ここは老眼世代には嬉しいところ(涙))。細かいことは書かれていないが,その分楽に読み通せるのも良い。それぞれの手続の鳥瞰図を頭に描く上でも有用と感じた。*1

 

次がこれ。実務家向けの入門書。最近OJTの書籍化みたいなシリーズがあるけど,このシリーズがその はしりのような気がする。

事例に学ぶ債務整理入門―事件対応の思考と実務 (事例に学ぶシリーズ)

事例に学ぶ債務整理入門―事件対応の思考と実務 (事例に学ぶシリーズ)

 

 債務整理のそれぞれのパターンについて,おそらく典型的な事例を,時間軸に沿って,都度都度弁護士は何をしなければならないかについて解説がある。時間との勝負という側面もあるので,時点ごとに何をしなければならないのかがはっきりしているのは有用だろう。事例に対応した書式例も相応に付されているのも,手続面も含めたわかりやすさの向上につながっているとも感じた。

 

また,事例とか書式があるので,読むべき正味の量が多くないのも,読みやすくて良いと感じさせるのに資していると思う。事例の依頼者が,弁護士の言うことに忠実すぎる気がしたけど,実務入門という性質上,その辺りまでリアルに書くと,入門の域を超えるし,分量も膨大になるから,やむを得ないのだろうとも感じた。

 

実際のところは,ホントに案件が来てみないとわからないものの,2冊読むと,とりあえず,後は要所要所で調べながらやれば,何とか対応できるのではないかという錯覚(と思うけどどうなんだろう)は抱けるので,新人のうちに読んでおいて損はないと感じた次第。

*1:他方で条文とかの摘示はないので,条文上どこの話をしているのかは,調べにくい。そういうのがないから余計に読みやすいし,本文で書いたような性質からすれば,そうなるのは寧ろ当然だろう