ロックで独立する方法/忌野清志郎

 こちらのエントリのときに読んでいた本の感想をメモ。

ロックで独立する方法 (新潮文庫)

ロックで独立する方法 (新潮文庫)

 

 この本の帯にある次の言葉に惹かれて購入。

「自分の両腕だけで食べていこうって人が,そう簡単に反省しちゃいけない」

 反省しない口の癖に,何をいうと怒られそうだが…。

 

長らくサラリーマンとして組織の中で,飯を食べてきた挙げ句,このトシになって,そういうところから離れるに至った原因の一つ(原因は他にも複数あるけど)には,組織の名前ではなく,自分の能力で食べていくことへの憧れ(辛さや怖さもあるのは理解しつつあるところではあるけれど…)がある。

 

そういう身からすれば,清志郎さんのように,しっかりと自分の名前で,活動していた方というのは,自分の技術だけで自分の身を立てていたという意味で,音楽性についての好み・意見はさておき,尊敬すべき先達と感じている。そういう先達が,独立してやっていくための心構えなどについて,語っている本,と思うと,興味深く,示唆に富む内容があるといえる*1。適宜読み替えれば,弁護士にとっても,働き方を考えるうえで得るところがあるはず,と感じた。津村記久子さんの解説も,全体の要約としても,一読者の感想としても秀逸だった。一番尖っていたころのインタビュー集ではないせいか,清志郎さんの写真は,穏やかで,どぎつくもなく,なんだか好ましく感じる。

 

個人的な印象でいえば,色々語られているものの,結局のところ一番大事なのは,その分野にどれだけ打ち込めるか,ということ,なんだろうと理解した。好き,というか,どれだけ打算なく,その分野に打ち込めるか,という覚悟の問題という気がした。覚悟があるから,自信も持てるし,頑張れる,というところは確かにあると思う。そう考えると,自分にとってのそういう分野を見つけていくことも重要になると思う。弁護士としての自分にとってのそれが何なのか,当座はその見極めが僕にとっては必要と感じている。

 

 

*1:個人的には山下達郎さんのこの種の本が一番読みたいのだけど,氏はこういう本は作らないだろうと思う。達郎さんの方がバンド志向の強い清志郎さんよりも,より一人でやっていくことを突き詰めている感があるし,RCA時代の音源については,訴訟も経験していたりするし,後輩ミュージシャンが語るところからすれば,もっとビジネスの生々しい話もできるはずなのだが…