会社法における会議体とそのあり方──変革期における株主総会と取締役会の実務 / 藤田 友敬 (編集), 澤口 実 (編集)

一通り目を通したので感想をメモ。機関周りの法務(企業内の場合は、所属部署の名称は問わない)に関与するのであれば、実務上悩んだ際にいろいろ考えていく糧になる一冊と考えるので、目を通したうえで手元に置いておくべき一冊ではないかと考える*1

 

企業法務の実務家(弁護士と企業内の担当者)と学者の方々が設定したお題についてあれこれ論じるという形式で、旬刊商事法務での連載を書籍化したもの。こういう対談形式での記事は実務と理論の双方からのアプローチができてよいのだけど、最近こういう形式が多いような気がするのも気にならないではないのだが*2。とはいえ、うまくまとめられれば有用なものになるのは間違いないし、このシリーズも藤田先生の仕切りが巧みと感じた。

 

本書の全体は2部構成。第1部で総会、第2部で取締役会について対談形式でそれぞれについて議論が展開されている。第1部ではデジタル化の影響、実務の見直し、総会制度の再検討という形で議論が続く。第2部では取締役会の運営、社外取締役の増加と取締役会の役割の変化、グループ経営の浸透、その他、へと議論が続く。連載の書籍化にあたり、各部の議論の紹介の前にindexとして、各セクションでの論点ごとに藤田先生が議論のサマリーが付されている。急ぐときはindexで要旨だけ確認して、後から詳細を確認するという使い方も可能で、そういう点でも優れていると感じた。論点について急ぎで確認したいこともあると思うので。

 

それぞれの論点についても、実務的に悩ましい話の検討だったり、実務は定まっているけど根拠があいまいだったり不明確なところに光を当てたり、総会や取締役会といった制度そのものの意義を改めて考えるなど、読んでいて、考えさせられることや学ぶことの多いもので(単にこちらが不勉強なだけかもしれないが)、仮に自分の現在の業務に直接のつながりがなくても、機関法務系の業務に関わるのであれば、一読してindexを確認しておくことで、将来的に、迷ったときに紐解いてみることで、ヒントになるものに巡り合える確率が高いのではないかと感じた。そういう意味では内容を一読したうえで、手元において、適宜参照する形が良いと感じた。

*1:6月中に目を通したものの感想を書くのが遅れたので、この日付であげておく。

*2:学者の先生方におかれては、ご自身のお考えを単行本で明らかにしてほしいとも思うので。