その数字の意味は

何のことやら。呟いたことを基に脊髄反射的なメモ。

 

弁護士一人当たりの訴訟の件数の話が取りざたされているのに接した。東京とかは弁護士一人当たりの事件数が少ないなどという話も出ているようだ。

 

ここでいう弁護士は、(日本の)弁護士有資格者全員だとすると、M&A等を扱ういわゆるdeal lawyerとかインハウスとか訴訟を扱わない弁護士(こちらもその一人であることはいうまでもない)が増えているところで、そういう人も含めた形で平均を取ったら、低い数字が出るのはある意味で当然で(だからこそ、訴訟を扱わない弁護士や企業の本社が多いこともあってインハウスの多い東京での数字が有意に低くなるはず。)、そのような数字にどういう意味があるのか、ないのかは、より詳細な検討が必要なのではなかろうか*1

 

これに限らず、平均などを数値にすることについて、そのやり方で数値化することにどういう意味があるのか、ということがどこまで精査されているのかよくわからないと思うことが時々ある。転職面接などで訊かれることのある*2契約書の処理件数とかが脳裏をよぎるところである。契約書といっても内容は様々で長さも複雑さも扱いの難易度もまちまちなのところで数だけ比べることに何の意味があるのか、個人的には理解しづらいところである。

 

数値化しないと管理できないという言説も聞くが*3、数値化したら管理できるのか、というと、契約書の審査とかは管理のしづらいところもあり、そんなsimpleな話ではないと思う。

*1:もちろん、弁護士業務に占める訴訟以外の比重が増えたという読み取り方をして、弁護士向けの研修のカリキュラムのプログラムの見直しをする、というような用途には「使える」数字なのかもしれないが。

*2:訊くのは、「素人」の人事であることが多いような気がするが。

*3:企業内法務では人事評価のところで問題が先鋭化するところである。契約処理件数とかを評価にすると雑な審査で返してしまう事例が想定可能で、反応のスピードとかで評価するとなると、反応が早いだけの返しが横行する可能性があり...と評価項目候補を思いつくとそれと同時位にその評価項目を使うことの弊害が脳裏をよぎるので、傍目で見るよりは難しいと感じている。