掲題の映画を見てきたので感想をメモ。以下ネタバレの可能性に注意されたい。
歌舞伎町の東急歌舞伎町タワーにある109シネマプレミアムズでの単館上映。TVでオンエアしたときには特に気にしていなかったが、亡くなられてから気になったので見てみることにした。TVで流れた時よりは1曲増えていたとのこと(だから"+"とついているらしい)。この映画館自体、氏が音響を監修をしたということで、冒頭にその辺りを説明するインタビューが流れた。氏が生前話したインタビューのうちの最後の方のものらしい。声に力があまりなく、その点にやや驚いた。
"プレミアムズ"と冠する映画館だけあって、席のつくりもゆったりしていて、階下の喧騒*1とは一線を画す静けさで、映画を鑑賞するに相応しい雰囲気だった*2。音響も確かに、素晴らしかった*3。この内容を見るにはふさわしい場所だった。他方で、諸々の費用込みのチケット代もそれなりの値段なので、気軽に見るというわけにはいかないが、ことさらにスクリーンで映画を見ようというのであれば、少し高くても落ち着いた雰囲気で映画を見たい、という判断はあり得るのではないか。
内容自体は、淡々と氏がピアノを弾き続けるというもので、特にMCのようなものもなく、曲名の表示もなかったので、曲名を認識したのはYMOの東風と"戦メリ"のあの曲だけだった。白黒の映像で、氏の白髪以外はほとんどのものが黒く、氏も年齢にしては、闘病も相まってだろうが、老け込んでいる印象で*4、氏が既に鬼籍に入られていることも踏まえてみると、遺書を読んでいるかのような印象を受けた*5。そうはいっても、端正な曲を、繊細にして時に力強く演奏していて、闘病中ということを特に感じさせるわけではなかったのだが。
氏については、YMO時代の曲や達郎さん・まりやさんの曲で弾いている曲以外に特に思い入れはないのだが、氏の最後の演奏を聴くと、その他の点は別にして、演奏家として優れていたということを改めて感じた。