ユージン・スミス写真展「THE GLOW OF MERCY -愛と真実の日々-」@gallery bauhaus

お茶の水*1ギャラリーバウハウスで掲題の写真展を見てきたので感想をメモ。

 

ユージン・スミスというと、最近公開された映画もあいまって、水俣の写真で想起されることが多いのかもしれない。個人的には、以前何かの本で目にした「楽園への歩み」の方が先に想起されるのだけど。今回は、水俣周りの写真はなく、それ以外の彼の写真から、件の「楽園への歩み」も含め、70点ほどのプリントが展示されていた*2

 

氏は、なかなかに波乱万丈な人生を送られた末に*3、60歳を待たずに早世しているものの、色々な題材を取り上げていて、でも、一貫して「人間」を撮ろうとしている姿勢は、プリントからも感じられた。シュバイツァーの写真であれ、田舎のお医者さんの写真であれ、表面的に目に見えるもの(それを写真にして世に広く知らしめることにも、特にインターネット前の世の中では意味がある場合もあるのだが)の奥にあるものに迫ろうとしている感じがした。

 

展示されていたプリント自体について印象に残った点を挙げると、白黒写真としてみても、黒の割合が高く、その中で白の部分が効果的に使われている感じがした。暗室作業においても相当な手が加わっていることを想像させる。

 

展覧会のチラシ(シュバイツァーを撮ったもの)とチケット。

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NYに転居した際にはジャズ・ミュージシャンとの接点もあったようで、氏のロフトでセッションがなされたこともあったようだ。その関係もあって、展示された中にはセロニアス・モンクボブ・ディランポートレートもあった。また、ロフトでのセッションの様子は写真だけではなく、音も含めて撮ってもいたようで、それが今度公開されるらしい。こちらはこちらで見に行かないといけないような気がする。映画のチラシも置いてあったのでもらってきた。

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*1:神田明神そばというべきだろうか。

*2:一部のプリントは販売もされていたようだが、こちらが気軽に手を出せる値段ではなかった(汗)。

*3:撮影に際して、後に影響が残るレベルでの身体的なダメージを受けることが、数回あって、それにも拘わらず撮影を続けたのには驚きを禁じ得ない。執念のようなものがあったということなのだろう。