この1冊ですべてわかる 経営戦略の基本 /(株)日本総合研究所 経営戦略研究会 (著), 手塚 貞治 (監修, 監修)

目を通したので感想をつらつらとメモ。要領の良い纏め、それ以上でもそれ以下でもない感じ。

 

勤務先の研修で指定されたテキスト。ある日オフィスに行くと席の上に積まれていた。研修日までに読んでおくように、との添え書きと共に。そういう次第で、否応なしに目を通す羽目になった。エントリにするくらいさせてもらわないと割が合わないと感じたから、雑駁なメモをエントリにする次第。

 

経営戦略については、これまでも何らかの本を読むなどしたことがないわけではなく、未知の分野ということではない。そういう過程で得た断片的な知識をつなぎ合わせたものと比べると、本書から新しく得た知識はあまりなかったような気がする。この分野の王道的な事柄をまとめたものであるとすれば、ある意味で当然のことかもしれない。王道的な事柄を要領よくまとめたもの、という意味では、悪い本ではないのだろうし、今回がそうであるように、経営戦略に関する研修のテキストとしては適しているのだろう。それらしい研修をした、という形跡を残すうえでも適切な内容にも見えるだろうから。

 

とはいえ、奥付とかの記載からすると、2008年の最初のものが出て以来、中身が更新されていないようにも見え、そうであるとすると、動きの速い昨今の状況で、それでよいのかという疑義を禁じ得ない。内容的にも、無闇に片仮名表現が使われているようにも見え、内容を理解して使っているのかという気もするし、きれいごとばかり書かれている感もあって、所謂経営コンサルの怪しげさのようなものの一端を感じないわけではない。すべての経営コンサルが怪しいと言えるほど、これまでそういう方々との接点があったわけではないが、その種の部分を煮詰めたような感じがした*1

 

経営層を目指すような位置におられる方々に向けて、この分野の基本的な知識を手早く概観してもらうという意味では良くできているのだろうとは思う。そういう目的の研修のテキスト向きといえる。長らく同じ版でうれているというのは、内容的に「枯れて」いて、間違いのない内容だからなのだろう。特定の事例も出てこないので陳腐化のしようもないから、改訂も不要なのかもしれない。とはいえ、所謂教科書の類が読んでいて面白くないのと同様に、読んでいて面白さを感じることはなかった。研修とかでなければ、読まなかっただろう。

*1:もっとも、そういうことを言うと、世間一般からすれば、弁護士という職業だって大概うさん臭いのだろうとは思うし、それはそれでやむを得ないのだろうと思ってはいるが。