呟いたことを基にメモ。
年末になると某新聞で出る弁護士ランキング。あんなのに如何なる意味があるのか、と思ってみているのだが、今年は、同じ新聞で弁護士側が法務部門をランク付けするという記事が出た*1。
弁護士事務所のランク付けなんて、依頼者側からすれば、実際自社でお世話になっているところをうっかり挙げて、依頼が殺到して、自社の依頼への対応が悪くなったりしたら、目も当てられない*2ので、無難な有名どころに票が集まりがちなのではないかという気がする。単なる人気投票でしかなく、意味があるとは思えなかった*3。
それと、弁護士側が法務をランク付けというのも、関与している弁護士が限られているようで、そうなると、そういう弁護士の方々と接点があるのは、そもそも大企業の法務だろうと思うので、その時点で一定の偏りが生じていると見るべきで、これまたどういう意味があるのかもわからない*4。企業法務部門のリクルーティングに有利に作用するとかあるのだろうか。
この点については、もっと基本的なところとして、企業にとって「法務が強い」というのはよいことなのかというのも個人的には疑問を覚える。法務が「強く」ないといけない事情(良いものがあるのも事実だけど、そうでないものがあることの方が多いのではないか。)*5があったというのが良いことかというと疑義があるように思う。それよりも、法務が「強く」なくても、結果的に適用法令は遵守され、リスクが適切な範囲に収まっている方が良いのではないか、もっと言えば、変なリスクを取らずとも、商売が適切な形で回るようになっていることの方が良いのではないか。そういう疑問はあって然るべきかと感じるところ。
もう一つ思うのは、個人として「法務が強い」ところにいることは、企業内法務の担当者として「強い」担当者になることとは等価ではないことも理解しておくべきと感じた。企業として「強い」ことと、個人として「強い」こととは別問題であるという、当たり前のことでしかないのだけど。