本日も何だか(2020/9/9)

昨日と同様のメモ*1

企業の法務のスタッフの採用の条件に、法学部卒とか弁護士資格を必須の条件とする、というような言説に接したが、個人的な感覚からは、違和感を覚えた*2。こちらの感覚によるものなので、異論はもちろんあるのだが、一応メモしておこうかと。

 

何よりもまず、それらの要素なく企業内の法務のキャリアを開始されて、十分以上の業績を挙げられた方を複数存じ上げているから、そういうものを必須としなくても足りると思うというのが大きい。

また、法律は、後から学べると思うから*3、寧ろ事業部門で事業をしっかり理解している人を法務に持ってきて、業務に必要な法律の勉強をしてもらうことで、法務業務*4に対応するという発想もあり得るだろうと思っている。

さらに、事業部門と法務部門との人の交流をはかることで、相互の意思疎通のしやすさ(相談などへの心理的な障害を除く、相互理解を深めるなどの利点はあるだろう)や全社的な法務能力の底上げ、法務系の人材のキャリアパスを開くという発想*5もあるだろうと思う。

冒頭のような言明はその種の議論を封じるものになりかねず、その意味で公にすることが適切かどうかは議論の余地があるような気がした。

 

加えて、この種の言明は、穿った見方をすれば、人を外からであれ、内部からであれ、採ろうとする側が、希望者の資質を見る能力も、採用した後教育する能力もないということ(ある種の組織としての脆弱性の表明とみることも可能だろうという気がする)を自白しているようにも見える。そのように理解される可能性も踏まえずに斯様な言明をするのは、発言者のリスク管理能力に疑念を抱かれてもやむを得ないのではないかという気もする。特に発言者が企業の法務部長であれば、なおのこと。取り様によっては不利に受け取られる発言を外部にする際には、社内では注意喚起をする側だろうから、そういう立場で斯様な発言をするのは…と思う次第。

 

*1:手動twilogでメモを残そうと思う内容があったということでご容赦をいただければと…(謎)

*2:大人の事情で件の言説に対してのリンクは貼っていない。

*3:こちらも一応法学部卒ではあるが、政治系だったため、法律の勉強はほとんどせず、法務の仕事をし始めてから法律の勉強を本格的に初めて、結果的に弁護士資格(日本・NY)を取るに至ったので、仕事をしながらの勉強が不可能ということはないと思っている(やりづらい状況があることも理解はするが、僕のような事例からすれば、常にそうとは限らないと言うことはできると思っている)。

*4:それが何かという点が個社の状況によって異なること、それゆえにこのような発想が成り立ちにくいところがあることは理解しているつもり

*5:この種の発想は言うほど簡単ではないというのも理解しているつもりだが…。