半年くらい前に目を通した本が、CGコードの改定を受けて、改訂されたので、入手して目を通したので感想をメモしておく。改定後のCGコードの概要を把握するうえで良い本という点は変わらないと思う。
改定により、CGコード自体の内容が増えたこともあり、本書の分量も増えている。それでもCGコードについて逐条で解説をしており、その内容が読みやすいという点は変わらない。周辺の規定も視野に入れたうえでの解釈論も優れている(と感じた)。この分野での「最初の一冊」の候補の一つであり続けることには、変わりはないのだろう。
もっとも、その割には、僕は目を通すのに時間がかかった。CGコードそのものに違和感があるし*1、改訂によりその違和感が強まったのが一因。そもそも、「お作法」が厳格過ぎる機関法務系の業務は、正直好きでないというところもある。
今回の第3版の「はしがき」にも記載のあるように、改定後のCGコードの内容が微に入り細を穿つ感があるところは、昔懐かし護送船団方式が形を変えて復活したのかもしれないという印象を受けた。そこまでしないといけないのか、ここまで個々の企業の手足を縛って、企業が自主性を発揮する余地を狭めると、却って「成長」を阻害するのではないか*2、対応するのに要する手間に見合う「成長」は得られないのではないか...そういう疑念は消えない。そのうちに、そういう方向からの揺り戻しが来るのではないか、という気がしないでもないし、そういうものが生じるようになってほしいという気もする。
とはいうものの、一企業の担当者としては、所属企業が上場を維持し続ける限りは*3、文句を言いつつも、それなりに対応し続けるしかない。そういう対応をするうえでは、高名な著者らの手による本書は引き続き助けになるはずと感じた。