第4版は買っても目を通し切らないままだったが、今回は、発刊直後に入手して、頑張って目を通したので感想をメモ。この分野の大家の手によるもので、版も重ねているもので*1、この分野の法務に係わる場合には、最初の一冊として手にすべき本、として、真っ先に候補に挙がるものの一つであろう*2。
新書版で約250頁の分量なので、相対的にシンプルになったような気がすれども今なお複雑な体系をなす、個人情報保護法の詳細な解説は、そもそも望むべきでもなく(そういう用途向けには著者のハードカバー1冊本*3などがあるというべきだろう)、むしろ、2021年改正後の法の全体像のあらましを手早く把握するための本、と理解すべきだろう*4。
本書では、この法制度の歴史に始まり、個人情報保護法の立ち位置、「個人情報」の定義、民間事業者の義務(当然のことながら、ここの辺りは詳し目に解説がなされていた)、行政機関の義務、グローバル化への対応、企業としての対応策、の順に説明がアリ、要所での図表(要件該当性判断のためのフローチャートも含む)でのまとめもあって、今回は読みやすいと感じた。条文番号などの参照もこまめにされているものの、ガイドラインの類への言及は少なめで、その分原文に当たる手間はかかるだろうが、コンパクトにまとめる上では仕方がなかったのだろう。
個人的には、メーカー勤務が主で、個人情報保護法周りの話にしっかり取り組む機会がこれまでのところなかったこともあってか、何度本を読んでもこの分野には興味も持ちきれずに、加齢も相まって(汗)か、本を読んでも今一つ頭に残らない感じが続いている。流石によろしくないので、本書を手掛かりにして(そういう用途には本書は非常に有益と考える*5)、届いたばかりのジュリスト2021年8月号の特集、水町先生のサイトの資料(こまめに改訂がなされているのが凄い)を読んで、理解を深めたいと考える。