伝説から神話へ 日本武道館さよならコンサート・ライブ-完全オリジナル版- [DVD] 山口百恵 (出演)

先般某国営放送で放映されたとのことだが、こちらは受像機を持たない方針ゆえに見られず、何だか癪だったので、DVDを購入して、週末の昼下がりに通して視聴した。

 

当時僕は10歳だったので、流石にリアルタイムでの記憶は乏しく、巷間話題になる最後にマイクをステージに置くところもきちんと映像を確認したことはなかった。それもあって、とりあえず一通り、中断せずに(昼飯を食べながらではあったが)見てみた。

 

ファッションに対するセンスや電子楽器についての技術の進展との関係で、そのあたりは残念な印象を持つことを禁じ得なかったものの*1、迫力が違うというところ。最近の促成栽培*2のアイドルがどれだけ束になってかかっても勝てない歌の安定感(安心して聞き流せるのは、一定上の歌のうまさが必要というのは、最近の紅白でも感じるところ)や迫力(低音の効き方が凄い)が印象的。この迫力と安定感を出しているのが20歳そこそこというのも、最近では考えにくい気がするので、隔世の感がある(反面でMCとかメンバー紹介は年齢相応な感じもして、そこのギャップも興味深い)。

 

20歳そこそこでの引退ということもあり、歌については、まだまだ伸びしろがあるように僭越ながら感じたので、この先歌い続けてくれていたら、ということも感じたけど*3、この辺はご本人の人生における選択なので、如何ともしがたい。とはいえ、金銭的な事情で復帰せざるを得なくなるということもなく、ここから40年平穏に暮らされているようなのは、それはそれで素晴らしいことだと思う。

 

通して見ると、総じて比較的淡々と歌っている印象だったのが*4、最後の曲になっていきなり、感情が横溢するのが興味深いし、涙ながらに歌い終えた後に、例のマイクをステージに置く動きが出ると、こちらも何だか感動してしまった。引き際の鮮やかさなども相まって、伝説とか神話という表現をしてもおかしくない、確かにそう感じさせるライブだった。

 

*1:衣装については、最初の提灯袖(パフスリーブ)は何だか似つかわしくない気がした。また、電子楽器の音はどうしても時代が出てしまう。

*2:栽培すらしていないという話もあるが…。

*3:何となく、似たような時期に結婚されて、同様に活動を休止された竹内まりやさんを思い出すわけだが…諸々の事情が異なるので軽々に比較をすべきではないのだろう。

*4:その他の曲については、正直あまり接したことはなかったのだけど、Playback part Iが、part IIばかり有名なわりに聴いたことがなかったので、変に印象に残った。初期の頃の曲もメドレー形式とはいえきちんと触れられていたのは良かったのではないか。