その議論のわけは

例によって例のごとくメモ*1

 

企業における法務の意義、みたいな議論に接した。ずいぶんと大仰な問いの立て方に見える。この問いに対する僕の答えは一つ。法務が何をするかそれ自体が個社の状況によって異なっているのに、法務の意義について一律の答えが出るはずがないから、結局はそれぞれの状況に応じて答えを出すしかない、というところ。企業内における特定の職能の意義である以上、当該特定の職能が当該企業において何をするのか、によって答えが変わるはずで、他方で、こちらのblog(従前のものも含む)で再三述べているように、法務という職能が何をしているか、が企業によって異なる以上は、先に述べた以上の答えが出てくるはずもない。一般化した問いを立てる前提を欠く以上、当然という気がする。

 

この手の問いは法務で聞くことが時々ある反面で、経理とか人事のような他の管理系の職種では聞かないように思う。これらの職能については、一定の理解が広まっているからであるのに対し、法務についてはそれがないから、ということなのだろうと推測する。そして、そういう理解がないのは、法務という職能が、その具体的な業務内容はさておき、その会社にとって必須のものを「握って」いないから、ということに起因するのだろう。経理が握る「カネ」、人事が握る「ヒト」に匹敵するものがないのは、概ね事実と見てよいのだろう*2

 

 

 

 

*1:いつものごとく、こちらの元「中の人」の経験に基づくものなので、異論があり得ることはいうまでもない

*2:会社としての「物語」や「正義」、「言葉」を握ることになるのかもしれないが、そのあたりは不確定な気がするし、そもそもこれらは、特定の機能が「握る」べきものなのか、というあたりもよくわからない気がする。