知財語り―基礎からわかる知的財産権 / 荒木 雅也 (著)

本屋で見つけて気になったので、購入したもの。

「はしがき」によると、本書は「時の法令」での連載を基にしたものとのことで、内容については、

本書では、商標法、著作権法特許法の三つの法律に絞り、知的財産権の輪郭や手触りのようなものを習得していただけるよう”語る”ように解説しています。 

とのことである。分量は150頁ちょっとで、文章も平易なので、読みやすかった。この分野で今どき縦書きというのは、「時の法令」に連載されていた名残なのだろうが、今見ると新鮮にすら感じられる。

 

いくつか印象に残った点をメモ。

 

まず、対象となる三法についての解説の分量については、商標法>著作権法特許法という感じで、叙述もこの順序、というのは意外だった。一般向けの知的財産法の本で商標法の話から入るというのはあまり聞いたことがないような気がしている*1し、商標と著作権で、前者を厚く解説するというのも珍しい気がする。

 

また、解説のために取り上げる題材も、知的財産権について接点のない読者であっても知っていそうなものを取り上げていてとっつきやすい感じになっているように思う。個人的には、地理的表示制度の話とかは、知らない話だったので、特に商標よりも効果が協力なところとかは、興味深かった。

 

最後に、最初の二法においては、近代以前の日本において、それぞれの法に通じる考え方があったことも論じられていて、特に、藤原定歌の本歌取りに関する考え方が、著作権法における二要件説に類似しているという指摘は面白いと思ったところ。こういうあたりは、各専門分野については、その道の専門家の著作に拠るとしても、学者の方の手によるものでないとなかなかできないのではないかと感じた次第。

*1:単にこちらが知らないだけかもしれないが。