司法試験/Bar Exam様々

たまたま本日接した情報がいくつかあったので、メモ。

まずは、本邦の司法試験・予備試験について。

令和2年司法試験及び司法試験予備試験に係る新型コロナウイルス感染症等の感
染防止対策について

問題ありそうなら受けるなという姿勢のうえ、救済措置はない、という対応なので、既に指摘の出ている通り、受験生としては、体調について極力隠す方向に動くだろうというのは想像に難くない。特に回数制限のある司法試験で、5回目とかになればなおさら。自分の合格可能性と自分及び他人の体調とを天秤にかけて、前者を優先する人間が相応に出ることは、受験経験のある人であれば容易に想像がつきそうなものだが(僕でもそうする)、なぜこのような隠蔽への動機付けを生じるような形になってしまったのか、疑問は尽きないところ。実施する側の事なかれ主義の集大成ということなのだろうか。

そうでなくても、今年は例年と異なり夏場の試験で、それだけで色々な問題が起きることも想像されるところなので、何よりも、無事に試験がおわることを祈るばかり。

 

他方、本日日本人の受験者の多いアメリカの2つの州についてbar examに関する情報に接した。

 

NYでは、7月から9月に延期されていた会場での試験を中止し、代わりに一定の受験予定者(LLM修了生も含む)に、来年の試験までの間、経験ある弁護士の監督下での弁護士としての州内での就労を認める措置を取る模様。また、将来的なオンラインでの受験について検討をする模様。

 

CAでは、本年の試験を10月に延期してオンラインで実施とのこと。加えて今までの合格点が高すぎたとしてこれを下げるとのこと。

 

どちらの州も、それ相応に混乱は生じるだろうが、こちらについても受験させる方の健闘を祈るばかり。

 

両方の情報を挙げておきつつ言うのは変かもしれないが、試験の立ち位置が違うから、直ちに上記で日米比較をするのが適切とは思っていない*1。もちろん、USでは以前から記述式でもPC受験が可能だったということもあり、オンラインへの移行は日本よりも容易なのだろうとは感じる。他方で、現下の状況にたまたま適合的であるというだけのことを過度に重視すべきではないだろうとも思う。

 

ただ、想定される不都合な事態について、受験生にどこまでのリスクを負担させるか、という点だけで両者を比較すると、米国の試験の方が受験生に負担させるリスクの範囲が妥当に見えるし、その点については、日本の当局に反省を求めるべきなのではないかと感じるところ*2

 

*1:実務に入る最後の関門という意味では、Bar Examの比較対象は日本の所謂二回試験の方が妥当なのではなかろうか。

*2:有体に言って能力の差なんだろう。