そこにいることの意味

ぼんやりと思ったことをメモ。

 

徐々に色々な活動が「再開」状態になりつつあるが、在宅勤務については、継続を望む声を多く見る。個人的には、これまでも今も、通勤が苦痛とはあまり感じない(時間に余裕をもって通うようにしているので、電車を何本か待つこともするからなんだろうが)のと、家では仕事をしたくない(今のオフィスだと家からほとんどの仕事が可能ではあるが)のとで、オフィスに行く方を好むのだが、逆の声があるのも理解できるところ。個人的には従前大手IT系企業で、在宅勤務を推奨したものの、結局それを撤回した事例を記憶しているので、なんでもかんでも在宅勤務とできるのか、という疑問が残るところ*1

 

加えて、在宅勤務というと、結果的に長時間労働になったりする危険も指摘されているし、安全配慮義務とかどうやって担保するんだろうとか疑問はあるが、こと法務という職種でひとつ気になるのは、法務の業務との関係で、ホントに誰もオフィスに行かないで大丈夫なのかというところ。郵便物対応(特に特別送達とか知財周りの通知とか)や押印対応(これは法務でやらない可能性もあるが)あたりはわかりやすいけど、郵便は確認の頻度を落とす対応は可能だろうし、押印については、昨今喧伝されている諸々で何とかなるのだろう。

 

それよりも危険かもしれないと感じるのが、立ち入り対応という気がする。官庁の立ち入り(地検とか公取とか)が来た時に、法務が全員在宅勤務でよいのかという疑問を覚えた次第*2。その場にいないとどうしても対応にタイムラグが出たり、対応内容が適切なものにならないのではないかという疑問。オフィス自体の存在を廃止できないところで、立ち入りが来て、事業部門の人間だけに対応を任せてよいのか、そこに立ち会わなくてもいいのかという疑問。ある意味で危険な状況下であるはずなので*3、そういう時にその場にいることで、社内的な存在感を出す(むしろ、そこにいないことで、社内的に存在意義に疑問を投げかけられるということを防ぐ意味が大きいのかもしれないが)ということもあるのではなかろうかと感じた次第*4

 

もちろん、感染リスクなどを考えれば、その種の問題が生じるリスクを甘受するという対応も十二分に想定可能だろう。ただ、その選択は自覚的になされた方が良いと思う*5。そんなこともあって、メモを残しておく次第。

*1:今般、某重厚長大系の企業が在宅勤務を打ち出したが、あれは本音はオフィススペースの費用削減を狙っているのではないかとにらんでいる。

*2:元「中の人」の疑問でしかないのだが…

*3:取締法規・刑事罰のある法規違反が確定すると許認可などの関係で影響が出る可能性も想定される。

*4:この種の問題は、フレックスタイム導入時にも問題となり得るはず。公取とかは朝9時に来るけど、9時に誰もいない可能性もフレックスタイム下では生じうるから…こちらはそこの類推で本エントリに書いていることが気になったのだが。

*5:その種の事態が生じるはずはない、と思っても、カルテルの類に巻き込まれる可能性まで考えると、どこまでそう言い切れるのかは個人的にはよくわからない。なお、こちらの過去の勤務先の少なくとも一つでは、この種の事態に遭遇していた。