事務所にあったのに一通り目を通したので感想をメモ。昨今の情勢からすれば、今後再生案件も出てくるのかなと思うので目を通したが、民事再生の手続きのイメージを掴むのに良い本という印象。
架空の設例に基づき手続きが時系列に沿う形で解説されている。この種の手続きものの解説であれば、ある意味当然のこととも思われる*1。解説は、全体像をつかむことに重点が置かれている感があって、細かい話は省略されているように見えたが、「初めての」と銘打っていることも考えると、妥当な判断と思われた。
興味深いのは、弁護士と税理士の協業を前提としていて、それぞれの役割分担が説かれているところ。破産と異なり開始決定後も資金繰りをしっかりと管理しなければならず、しかも、民事再生手続開始決定に至るまでの間に、再生債務者内部の管理体制は人の流出により脆弱化することも想定可能だから、税理士がそのあたりまで含めてサポートすることには意味があると思われた。税金の細かい話まで弁護士側で面倒を見るのは、そう簡単な話ではないから、役割分担をすることには相応の意味があると言える。正直なところ、税理士側で対応する内容については、こちらの勉強不足ゆえに十分な理解ができなかったところがあったが、そこはまあ仕方がないのだろう。