最近のぶつくさ

いくつかのことについてのメモ。

  • 一般論として、ある界隈において「禁忌」化しているような話題は、そういう状態に至るまでの歴史と経緯があるのだから、そこのあたりを踏まえずに、上から目線で物を言っても、説得力を欠くどころか、有害でしかないのではないかと懸念を感じる。特に、「表現の自由」のように重要視されてきたものに絡む話は、対立する複数の当事者すべての利益を考えずに、一方当事者の良い分だけ聞いて残りを「抑え込む」のでは、単に問題がアングラ化するだけの話になって、「解決」に至らないのではなかろうか(「禁忌」化したのはそういう経過が過去にあったからかもしれないということも考えておくべきだろう。)*1。 

  • 物事には適切なタイミングというものがあることもあって、そういうものがあるような時には、適切な時が来るのを待つ、ということも選択肢に入ってしかるべきだろうと思う。そういうことを無視して急ぐことだけを重視しても上手くいかないことというのもあるように思うのだが…。世の中はそんなにsimpleじゃないのではなかろうかと疑念を抱く次第。
  • 契約書の特定の条項の効力が裁判上否定された*2としても、そこから直ちに当該条項を削除すべきかとなるかどうかというと、どうなんだろうと思う。相手方からの不当なクレームへの防御として機能するような条項については、訴訟でもめる以前の文脈でも機能するわけで、その文脈での利点を考えると、訴訟でもめる確率が低ければ、そういう条項を設けること自体で、法律上の制裁が直ちに下されるものでないのなら、レピュテーションも含めて考えて、残す利点が欠点を上回るのであれば、残しておくのも一案なのではなかろうか。そこの判断は契約書全体及びそれを取り巻く文脈で考えるべきであって、個々の条項だけをあげつらうことに意味がどこまであるのか、慎重に考えるべきなのではなかろうか。

*1:「抑え込む」結果として、自分の視野から消えればそれで良いという考え方もあるのかもしれないが…

*2:第一審の判断だけだとしたら、第二審で覆る可能性もあるわけで、第一審時点だけで考えるのは早計にすぎることもあるかもしれない。