区別の重要性

何のことやら。呟いたことを基にメモ。

 

大要、社外取締役の弁護士がSO発行時の取締役会で金商法下での適法性について確認しなかったことを問題視する言説に接した*1。感じたことをメモしておく。

 

特に所謂モニタリングボードを前提にすると*2、執行側と執行を監督する側との区別が必要なはずで、社外取締役は後者のはずだから、たとえ弁護士であっても、前者側で対応すべきことへの対応を期待するのは不適切なのではなかろうか。せいぜい、執行側で適法性について、外部のしかるべき専門性のある弁護士の確認(意見書が望ましいことが多いのではなかろうか)を得ているかの確認をして、確認がない場合には、賛成の意思表示をするに足りる材料が不足しているとして、そもそも決議をしないよう求める、または、反対票を投じその旨議事録に残す*3、という程度がせいぜいではないか。

 

特に規模の小さい企業の役員だと、報酬額を考えて、弁護士なんだからそれくらいは、という風に考えるのかもしれないが*4、SOとかの取締役会付議事項でいえば、適法性の確認は、執行側ですべき意思決定の前提の調査を業務委託として外部の弁護士に外注する話であるのに対し、社外取締役を委任されるのは、それを監督する側として取締役会における意思決定過程に加わってもらう話であって、立ち位置が異なる*5。この両者は峻別する必要があると考える。社外取締役側としては、安易に妥協して峻別をあいまいにすることに与するよりも、峻別して対応できるように執行側を「育てる」ことの方が、長い目で見れば、望ましいのではなかろうか。

*1:当該言説自体を論難する意図はないので、リンクなどは貼らない。

*2:モニタリングボードでなくても社外であれば同様の話になるのではなかろうか。

*3:問題が生じた場合の自己防衛上は議事録に残すのが重要であることはいうまでもない。

*4:弁護士側からすればそこまでもらってないという話になることも多いのではなかろうか。

*5:立ち位置が異なる以上責任のありようも異なることが通常であろう。