即興 ホンマタカシ

東京都写真美術館で掲題の展覧会を見たので感想をメモしてみる*1

 

ホンマタカシさんの作品はあまりまともに拝見した記憶はない。例外は中平卓馬さんの晩年を映した映画くらいか。

 

即興、という題がつけられているのは、建物の一室をピンホールカメラとして使って撮影した作品が主だったからのようだが、そういう撮影をしようとすると、それ相応に準備がいるはずで、それを即興というのはどうなんだろうと感じた。同様に展覧会の英語タイトルがRevolution 9という点も、The Beatlesの所謂White Albumの中のにちなんでつけられたようだが、あれは、種々の音のコラージュで、編集をしたうえで作られたもので、即興とは縁遠いのではないかと感じるので*2、二重の意味で、表題には違和感を覚えた。こちらの「即興」という言葉の理解の仕方の問題なのかもしれないが。

 

表題はともかく、展示されていたのは、いずれもピンホールカメラで撮った映像なので、通常のカメラで撮ったようなクリアな絵は得られにくい。デジタルで解像度の高い映像が以前よりも遥かに簡単に撮れるようになっているところで、そういう形で撮ることにいかなる意味があるのか、が問われているような気がしないでもない。個人的にはそれで撮るのが楽しければ、それはそれでアリだろうとは思うし、プロの場合はそういうシンプルすぎる話だけでは済まないのかもしれない。もっともいろいろ考えてしまうからこそ、こういう原始的な仕組みに立ち返ることが必要になるのかもしれない。個人的には、今回の作品群では、都市や富士山を映した作品群は、はっきりしない中にある独特の質感?が良いと思った*3

 

会場は静止画の撮影は許可されていたので、何枚か撮ったのだが、印象的だった作品の写真を貼っておく。なぜこれが印象に残ったのかは自分でもよくわからない。

 

*1:どうでもいいことかもしれないが、一つ残念だったのは、図録ができていなかったこと。最近の印刷事情の悪化が背景にあるのかもしれないが、展覧会初日からは相当日数も経っていたのにないのは残念だった。ミュージアムショップではゲラがおいてあったが、寧ろそのゲラが欲しいと思ったのだった...。

*2:それなりに長い間The Beatlesのファンをしているつもりなので、その辺りは拘らざるを得ないと感じる。

*3:自分でも楽しもうと思って一応ピンホールカメラのキットは手元にあるのだが、最初に少し使ったきりで使えていない...。美術館のミュージアムショップにもあったのだが、手元にあるもののことを思い出して買うのは自粛した。