一通り目を通したのでメモ*1。
タイトルが内容をよく示しているのだが、大学で言語学を学んで編集者をしている「言語オタク」がその道に関係のない友人に、言語学の面白さを語り続けるいうところ。文章は平易で読みやすい。
母語については、外国語ほど分析的に理解をしているわけではないので*2、どうしても、なんとなく理解しているだけというところは残るので、そういうところを、突き詰めていくことで、言語学の面白さを紹介するというのはあり得るアプローチなのだろうと感じた。
また、こういう学問分野の入門めいた本は、その道のプロが書いていることが多いように思うが、プロが素人相手に専門分野を語ると、素人側が素朴な疑問を示しにくかったりとか、プロの説明が素人にわかりづらかったりすることがあるように思うが、本書は、専門知識を示すのが「オタク」であって、学問的な厳密さはさておき、一般人にわかるような説明をしてくれているのもよいと感じたし*3、オタク対友人という立ち位置なので、プロ対オタクという知識の差の勾配があまりなく、ご高説をご拝聴という感じにならずに、とっつき易さの面で有利に作用しているように思われた。
もっとも、オタクの前のめりな語り口(とこちらは感じた)ととっつき易さからは、彼らがどう言うところに興味を感じているかはなんとなく理解はできるものの、読んでいるこちらが、同じ沼に引きずり込まれたかというと、そこまではいかない感じがした。そういうところまで行くには、この本の分量では足りないというところなのかもしれない。