究極のドラッカー / 國貞 克則

財務諸表3部作の著者の手によるドラッカー入門書。

 

著者自身、ドラッカー大学のMBAドラッカー自身の講義も受講したことがあるということもあって、ドラッカーエバンジェリストという印象もあり、そのあたりは好みの割れるところだろう(個人的には途中から食傷気味だった)。

 

著者自身の考えは、控えめに、かつ、ドラッカーの考えとは明確に区分したうえで提示する形をとっており、ドラッカーの著書からの引用もふんだんに使っていることもあいまって、ドラッカー経営学の概観を上手くまとめているのだろうという印象だったのは確か。僕自身は、ドラッカー経営学を知らないものの、この分野の最初の一歩という観点からは良い本なのではないだろうか。

 

他方で、ドラッカー万歳みたいなところがあって、ドラッカーの限界みたいなところが一切語られていないので、正直どこまで信じてよいのやらと感じたのも事実。他の学者等の言説との比較の中でそこは考えるしかないのだろう。

また、語られているドラッカー経営学は、ある意味当たり前にも見えるのだけど、その一方で、僕自身が企業勤めの中で経験した範囲では、それが十全に実践されているとは思われなかった。そこからすると、言葉にすると簡単に見える割に、実は、実践困難な理想論を言っているに過ぎないのではないかという気もした。

 

僕自身にとっては、今自分が所謂イソ弁であって、組織の中にいるという感じではないことから、第5章で語られる個人が成果を上げるための方法論、に特に考えさせられた。自らの目的と使命を果たす、自らの仕事を生産的なものにし成果をあげる、という2つの要点は、現状いずれも十分にできているとは言い難く、今後考え続ける必要があるところだと感じた次第。