掲題の展覧会を見に行ったので感想をメモ。
山下清というと、こちらの世代にとっては芦屋雁之助主演のドラマでの印象が強く*1、実際の作品は見た記憶がなかった。そこで、今回、最近話題の?損保ジャパンの美術館で、回顧展があるということで見に行ってみた。
損保ジャパンの美術館は、気がつくとかの会社の本社ビルの上層階から別棟に移転していた。上層階からの眺めを見ることができず残念な気がしたが、いちいち高層階まで上がる手間が省けたことの方が喜ぶべきなのかもしれない。
生誕100周年の回顧展ということで、幼少期からの作品も含め展示がなされていたが、最初から「芸風」というか、そういうものは変わっておらず*2、ある意味健やかに画風(点描画が基本になっているような印象を受けた。)が確立したかのようにも見えた。
貼り絵の技法は、ぱっと見以上に緻密で繊細と感じた。貼り付けられた個々の破片は思った以上に小さく、大きさも色ごとにほぼ均一に見え、これを手でちぎったということ自体信じがたく感じたし*3、画面全体にほぼ均一に貼られているのにも、これを成し遂げる集中力に驚いた*4。貼り絵の中では長岡の花火の絵が好ましく感じた。
また、サインペンで描いた絵についても、一発勝負で描くことになるはずなのに、あまり迷いのようなものは感じられず、その点にも驚いた。サインペンで描いた絵は、イラストめいたものがあり、中でも、個人的には、サインを求められたときによく描いたとされる「リットル魚」の絵が良いと感じた。
また、もう一つ驚いたのは、見たものをその場で作品にしたり、その場でスケッチをするのではなく、見たもの一旦自分の記憶にとどめ、そこから日をおいて、作品にしている点。画像的な記憶力に優れいてるのだろう。集中力も含めて「異能の人」という印象が強くなった。
作品群に加え、身の回りのモノ(放浪時に来ていたもの(ランニングではなく浴衣や着物だったようだが)やリュックサック等)や、放浪について記したメモも展示されていた。放浪に際しては、各所でご飯をめぐんでもらっていたが、そういうことが可能な時代だったということも印象的に感じた。
名前しか知らない画家の作品をまとめてみることができたのは良かったと感じた。
以下、撮影可能だったバナーと、チラシや1枚だけ買った絵葉書とを映したものを貼っておく。