奈良原一高 写真展「宇宙への郷愁」@東京工芸大学写大ギャラリー

展覧会の開催*1を知らせる葉書が来たこともあり、見てきたので、感想をメモ。

 

奈良原一高さんのお名前に最初に接したのは、記憶している限り、森山大道さんの「犬の記憶」の中だったと思う。森山さんが弟子入りした細江英公さんが奈良原さんたちとVIVOという写真家集団を作っていて、VIVOで借りていた部屋を細江さんがそのまま使っていた…というような文脈で接したのだった。亡くなられたのは昨年だったが、1950年代から活躍されていたというから、かなり上の世代の写真かという印象がある*2

 

その奈良原さんの写真について、写大ギャラリーのコレクション*3から展示をしたのが今回の展覧会*4。本ブログのエントリの時点では、写大ギャラリーのサイトで、展示会場の様子を写した写真を見ることが出来る(これはこれで有難い)。今回の展示会の副題の「宇宙への郷愁」とは、写真集「消滅した時間」の中に収められた文章の題名とのこと*5

 

副題から、川田喜久治さんの「ラストコスモロジー」のように何らかの天文現象の写真でもあるのかと勝手に想定したが、そういうものではなく、あくまでも氏の過去の写真でギャラリー所有のものを、シリーズ単位にまとめて展示しているだけだった。

 

1950年代の初期のモノクロのものから、1990年代のカラーのものまで通して見ると、個人的には、かなり考え抜いたうえで撮られていて、洗練された画面構成になっているという印象*6

 

見た中では、個人的には、1990年代のvertical horizonのシリーズとかは面白かったものの技巧が強すぎて、考え落ち、という感じがしてしまったのに対し、寧ろ初期の頃の作品の方に魅かれるものを感じた。特に、長崎端島軍艦島)にまだ人がいた時代に撮られた「人間の土地」シリーズ(鉱夫の方のポートレートには、インパクトがあった)や、海外で撮られた「消滅した時間」シリーズ(今回の展覧会で使われた空き缶が浮いているかのように見えるものや、白い並木道に鳥がいて、背後に女性が見えるもの(以下参照)、が印象に残った)が素直に良いと感じるものだった。

 

建物入り口の写真。

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建物入り口入ったところで、展示室のある2階に上がる階段から見えるもの。

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宣伝の葉書。2種類あった。チラシはなかった。

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*1:なお、会期は11月20日まで。

*2:そう思うと、VIVOの一員でいまだにインスタグラムで写真を発信し続けている川田喜久治さんは凄いと感じる。

*3:こちらによると、300点余を所蔵している模様。

*4:なお、感染対策がしっかりとられていて、展示スペースに入ることのできる人数をスタッフの人がかなりきっちりと制限していたことも付言しておく。

*5:こちらの記載による。

*6:今回見た写真以外に直接の情報をもたないから、誤解かもしれないが…。