そのDDの意味は

何のことやら。呟いたことを基に、あまり整理されていないメモ。

 

M&Aで、何らかの理由で、結論(買収する・しない/買収価格)が決まっているときに*1、DDを省略するようなことがあるようだけど、個人的には違和感がある。

 

そうしてしまうと、deal closeとなるまで、買収対象の会社について碌にわからないまま傘下に収める(合併するにしても子会社とするにしても...)ことになりかねない。そのまま傘下に入れて大丈夫か、ということの確認が必要ではないかと考える。例えば、まったく悪気なく意識していない取締法規違反とかがあったとしても、おそらくそういう形で買収してしまうと、その点をdeal close前に察知できない可能性がある。その結果、自社の傘下で違反の事実について必要な申告などを行う結果となり、時として、実害も生じかねない。

他方で、仮にそのような事態が事前のDDの過程で判明すれば、deal closeとなる前に、申告や是正措置を講じておいてもらい、「身ぎれい」になったところで傘下に収めるという対応も想定できる。そういうことをdeal closeの前提条件にすることになるわけで、その際には、そのあたりにかかる費用は最悪こちら負担で、譲渡代金から控除するとか、対応のための支援を事実上行うということも想定可能だろう。また、そうした対応に時間がかかるのであればdeal closeの時期を遅らせることも可能であろう。

 

また、そこまで行かなくても、PMIの過程で何をすべきか、そして、そこにどのくらいの手間がかかるか、ということを洗い出すこともDDを通じて行うことが可能だろう。PMIでは、システムや人事制度をはじめとして諸制度の一定レベルでの統合などが想定されるところだが*2、そこには手間がかかるし、現状について十全な把握がないと、その辺りの過程にどの程度時間と手間がかかるかもすらもわからないからだ。

 

ういう目的でのDDとなると、買収する・しない/買収価格を決めるためのDDとは、集めるべき情報も異なるのだろうし、もっと簡易なものとなるかもしれない。ともあれ、情報があれば手を打てたのに、とdeal closeの後で悔やむよりも、なにがしかの手を講じた良いのではないかと考える。

*1:事業承継目的で後継者のいないサプライヤーを傘下に収めるときとかが、メーカーではあり得るような気がする。

*2:個人的に見聞きした範囲ではシステム統合に時間がかかることが多いし、人事制度を整合性ある形でつなぎ合わせることも、かなり大変な話と理解している