映画「ボストン市庁舎」

ボストン地域に縁のあった者*1として見ないわけにはいかないと感じ、また、前作の「ニューヨーク公共図書館」も良かったので、見に行ってきた。若干の感想をメモしてみる。ボストン地域に縁のあった方にとっては、長いけど、見ておいて損はないのではないかと思う。

 

公式サイトはこちら。

cityhall-movie.com

 

間に休憩が入ったものの、274分というのはやはり長丁場で、40代以降は相応の用心をしてから見ないと後で身体に響くかもしれない。

 

長丁場になったのは、市の様々な活動を示す、一つ一つのエピソードをかなり長めに入れているからと思われた*2。複数のエピソードを、特に解説等は入れずに、つなぎ合わせて、対象を描写するというのがこの監督のやり方のようで、そこからどういうものを読み取るかはこちら次第ということなのだろう。トランプ政権への批判めいたものは少しだけあったが、声高なものではなかった*3

 

僕自身が感じたのは、民主主義は、当事者意識をもって参加し、言葉で議論を積み重ねるという過程が重要であり、そうした議論を積み重ねる前提としては、相互に相手に対する敬意を持っていること、というのが必要ということ。それと、議論を積み重ねるのはいずれにしても時間と手間がかかる。それを惜しんではいけないというところを痛感した。そして、市長にしても、市のスタッフにしても、市民にしても、そういう議論から逃げたりせず(この点が、特に政治家における部分が彼我の差の一番大きなところだろう。)、自分の考えをしっかりと言葉にしているということは印象深かった。この辺りが十分にできていない本邦において、民主主義が根付いている感じがしないのは、ある意味で当然のことなのだろう。

 

映されている地域は、こちらの行動範囲とはあまり重ならず、懐かしさを覚えるような場所の映像は少なかったが*4、如何にもボストンと思わせる街並みはやはり懐かしさを感じたし、人々の英語も、ボストンの英語、という感じのものが多くて、聴きやすく、かつ、懐かしく感じた。

 

最後に購入したパンフレットとチラシの写真を貼っておく。パンフレットの、ボストン市についての情報は、基本的なものであっても知らないものが多く、興味深く読んだのだった。

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*1:通ったBUの施設も出てくる。家は隣のBrookline町だった

*2:個人的にはゴミ収集車がベッドのマットレスとか屋外で使うバーベキューのセットとかも砕いてのみ込んでいくあたりが、ああ、アメリカだなと感じたし、レッドソックスの優勝パレードの様子、特にダックツアーの水陸両用車を使って行うあたりは、ボストンらしいなと感じた。

*3:一か所だけ銃規制についてインタビューされる中で市長がNRAを名指しで批判しているところがあったが、これは如何にもボストンらしいなと感じた。

*4:僕が在籍したBUでの会合の様子も映されていたが、Law schoolの建物ではなかったようで、見覚えのない建物だった。大学自体が巨大で、行ったことのある施設の方が少なかったからやむを得ないのだろう。