BLJ2020年3月号

風邪もおおむね回復したので、感想をいつものとおりメモ。

  • 後ろからBLJを読むのは、まずは、某二次妻・無双の人の連載を読むからなのだが、今回は某契約類型に関する本の書評だが、某大手事務所の同分野の本が華麗にスルーされている(よく見るとステルスでdisられているが)のが良い。かの事務所があの類型の契約に接するときはおそらく限られいているし、名前の出ていたパートナーの方々はM&A系の方々ばかりなのでそういう偏りもあるだろうから、そういう扱いでよいのだろうと出た時点で踏んでいたので*1。辛口の書評も期待の裏返しだろうから、ぜひとも実現してほしいところ。
  • 知的財産法の羅針盤は、令和元年改正下での検討が興味深かった。まあ、そうなるよね、という印象ではあるが。

  • ハーレム連載は、秘密情報の定義のところが、有体物以外に関しては、緩過ぎるように思われる。そのままだと管理しづらい結果が生じるように思われる。ストーリーの個別の設定との関係ではそれでもOKという話になっているのだろうが、誤解をさけるためにその点の説明があった方がよかったのではないか*2
  • リコール制度の記事は、興味を失っていて、斜め読みだったが、流石に日本の記事はきちんと読んだ。知見のない業種に関する部分が興味深かった。
  • 弥永連載。真面目に読むのはいつ以来か。コーポレート・ガバナンス情報の虚偽記載に課徴金を課すというのは、確かに情報の正確性確保の手段としては有用なのだろう。
  • ブラックリスト作成の記事。全体的にふんわりしていて、その範囲では妥当な内容なんだろうけど、某例外該当性をもう少し詰めてほしかったような。まあ、裁判例とかの集積がないと難しいのだろうけど。
  • 独禁法の道標。優越的地位の濫用って結構課徴金納付命令出てるんだね。フォローできてなかった。トイザらス審決と山陽マルナカ審決の論理の差異の指摘は興味深かった。優越的地位の濫用が日本の独禁法界隈の「負い目」になっているとの白石教授の指摘は、やや驚いた。ご指摘からすれば当然という部分もあろうかとは思うのだが*3
  • データ取引の記事。定義から詰めていくとまあ、そうなるんだろうけど…というところか。
  • JVの記事。建設業でのJVを参考にしているようだけど、参加企業間に利害対立のおそれが小さい場合にメリットが大きいとしているけど、そう結論つける理由がいまいち読みづらい気が。建設業では別に資本関係ない企業同士でもJVは組んでいるようなので…。
  • 法務ドックのすすめ、はいかにもあの先生だな、と。受けた結果特に法令違反が発見された場合には、放置しているとそれ自体が、取締役の善管注意義務違反になる危険もあるから、多くの場合は対策を講じる羽目になるので、内実はそれと抱き合わせみたいな話なのかな、と勘繰ってみる次第。
  • 中国におけるに日系企業コンプライアンス事情。駐在員の現地ずれ、または、本社の感覚との乖離、は、場所の如何を問わず駐在員あるあるという気がする。SNSをビジネス使用することによる証拠確保の難しさは、別に洋の東西を問わないのだろうけど、中国では特に顕著なのだろうなとも感じた。
  • ビジネス保険の特集。保険に詳しいわけではないが、要領よくまとまっている印象。ただ、付保段階の話にとどまっていて、実際に保険事故が起きたときの対応の実務とかの話も聞きたいところ(とはいえ、実際には、記事にしづらいだろうけど)。
  • 重要課題については、まあそうだろうなという感じ。テック系については、「中の人」及び周辺の方が思っているのと、ユーザーとの間に乖離している部分があるんだろうなと感じた*4

*1:ましてや、かの本を大手事務所の本だからといって有難がるのは不見識を批判されても仕方ないように思う。

*2:会議とかの場で書面以外でやり取りした情報(主に口頭だが、時として、においや音とかも含まれ得る場合もあると理解している)については議事録で内容を抑えたうえで秘密情報指定をするのが一般的ではないかと思われる。そういうことをしておかないと、後から何が秘密情報として保護対象になるか判断しづらくなる危険があるから、なのだが、この事例では設定上の当事者間の関係からおそらくそういう問題が生じないものとして、省略しているものと推測される。ただし、それは一般論として展開すべきかというと疑義が残るわけで、そこは注釈が必要だろう。

*3:もっと驚いたのはこの内容の呟きを白石先生にRTされたことだが(汗)。

*4:なお、こちらも某図書のサービスはトライアルで触ってみたが、現時点で本が少なすぎる、UIがわかりにくいことなどから、結局費用対効果に見合わないと判断して、速攻で解約した。