一通り目を通したので感想をメモ。大滝さんに興味があれば、間違いなく必読の一冊。
大滝さんが、自分自身について、萩原健太さんに語った内容を萩原さんが再構成して、大滝さんの生涯についてまとめたもの、という感じだろうか。萩原さんという、もともと編集者からキャリアをスタートさせたものの、自称「少々常軌を逸した音楽マニア」*1であるがゆえにか、大滝さんへのインタビューを契機に音楽の道に転身し、その後も大滝さんとも近く、大滝さんのお手伝いをされたことがあるという方だからこそ、整理され、かつ、一般読者にも(相対的に、だけど)分かり易い形にまとめられたのだろうというのは、想像に難くない。大滝さんの様々な分野にわたる膨大な知識に基づく話を受け止めるには、最高の話相手の一人なのは間違いない*2。基本が91年の3日間にわたるインタビューということだが、それ以外のものも含めることで、大滝さんの亡くなるまでの活動についてカバーする形になっている。
本書は、「幸せな結末」「Happy Endで始めよう」のレコーディング・マスタリングが終わったところで、萩原さんご夫妻が大滝さんから呼び出されて、出来上がったものを聴かされるところから始まり、そこから1948年の誕生からの足跡をたどるという構成で、達郎さんの音楽を聴くところから、大滝さん、はっぴいえんどの音楽を多少は聴くようになったという程度のこちらでは、知識が追い付かずに、内容がどこまで理解できたかわからないところが残ったものの、濃厚な内容の300頁弱の本を、面白がりながら、比較的短時間で読み終えることができた。もっとかける内容があるとは思うし、そちらも期待したいが、大滝さんの生涯を簡潔にまとめた、大滝さん入門という意味をも持たせるなら、この程度でちょうどいいのかもしれない。
やはり印象深いのは、特定の分野へののめりこみ方と、その分野の移り変わりと、転換の速さというところだろうか。廃仏毀釈と評しているが、一旦のめりこむと全精力をそこにつぎ込み、のめりこむ対象が変わるときれいに前のことを忘れたかのようになるというのが凄い。でも、のめりこんだ間に培ったものは、その後の本人の中に残っているようで、折に触れてそれが出てくるというのも、流石と感じた。
もう一つ気になったのは、達郎さんを大滝さんの「愛弟子」としていたところ。そういう側面があるのは事実だが、当のお二人はそう思っているのか、気になった。
ともあれ、いずれにしてもすごい本と感じた。大滝さんにすこしでも関心があるならば必読の一冊なのは間違いない。
