役員のための株主総会運営法〔第4版〕 / 中村 直人 (著)

一通り目を通したので感想をメモ。役員に限らず株主総会運営に関わるなら目を通しておいて損のない一冊。

 

この分野で長らくトップランナーとして名高い中村先生の本の改訂版。第2版には目を通したものの、それ以来目を通していなかった。諸々の状況も変わったということもあって、今回は目を通してみた。年末に出たので、冬休みの宿題という感もある(その割に冬休みに読み終わらなかったが...)。

 

法律に詳しいとは限らない(寧ろそうでないことが通常)企業の役員の方々向けに総会対応の基本を説く本だけど、法律論を踏まえて、趣旨から考えて、論理的に積み上げる感じで、物事を簡潔かつ端的に平易な言葉で説明しているのが何よりもすごいと感じる。学識と経験に基づく分析があってのことだと思うが、流石、としか言いようがない。こういう文章が書けるようになりたいと思う。全体で230頁余とそれほど長くないが、内容は濃いと感じる。

 

全体は8章構成で、冒頭3章で昨今の諸々の変化とそうした変化を受けての総会での対応が説かれている。ガバナンス型の総会という表現もなるほどと思う。第4章では株主総会の基本として会社法上の位置づけなどをおさらいしたうえで、第5章で、総会運営について、議長、答弁役員の対応などを解説している。議長や役員が迷うことなく総会が運営できるよう、余計な部分を切り捨て本当に抑えるべき点だけをしっかり説明している感じが素晴らしい。6章では問題株主撃退型の総会運営方法の解説がなされている。これまでの実務の知恵がまとまって示されていると感じる。最後の7章では質問が出ない会社の総会の運営の仕方について書かれている。

 

企業の役員向けで分量が多くないとはいっても、実際にこの分量の本すら読めないという役員の方々の方が多いのかもしれない。弁護士が書いた本というだけで二の足を踏む方もおられるかもしれない。寧ろ、そういう役員の方々に説明をする法務の方々が説明の仕方、何をどのように説明して、役員の方々に安心して総会を運営してもらえるようにするか、という使い方が本書の一番良い使い方なのかもしれない。それとともに、総会運営に関わる方々が最初に読む本というのも、本書の良い使い方かもしれない。総会で押さえるべきポイントがコンパクトにまとめられているのだから。細かい手続はそこを抑えてから学んでいくというのは良い方法だろうと思う。