例によって目を通した範囲で感想を箇条書きでメモ。
- 巻頭言は、刑法教員であればそういう優先順位の付け方はありうるだろうなとは感じる反面、司法試験受験生である学生の意識との間の乖離が大きいのではないかとも感じた。
- 法学のアントレは、そういうものかねえ…と思いつつ読む。
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特集1はニュースで応用科目ニュー門。
司法試験の選択科目の話かと思うと消費者法は含まれていなかったはず。UFJ事件は何だか微妙な印象。もう少しよい題材があったのではないかという気がした。
倒産法は船井電機の件。まあ、倒産法の紹介であればこういう感じになるんだろうなと思いつつ読む。
経済法は五輪談合の件。あの業務をめぐる「闇」とそれを「必要」とする事情(その当否はさておき)の記載が興味深い。
知財は複数の事件を題材に輪郭の不明瞭さを説く。そういう観点で考えたことがなかったので新鮮な印象。
国際法というか国際公法は普段触れない分野なので、こういう感じの議論をするのかと思いながら読む。
国際私法はクロスボーダーのM&Aを取り上げるなら競争法の企業結合規制の話にも触れた方が良かったのではないか。
特集はニュースになった話を起点に話をするとなるとこういう感じになるにだろう。労働法、倒産法、環境法、租税法が出てこなくて良いのかという気もしたが、仕方ないのだろう。 -
特集その2はいまこそ「選挙」を考える。
短いイントロの後の石原先生の文章は、「問題の核心はどこにあるか」の分析が、その内容の当否や賛否はさておき、興味深い。最後の指摘はおそらくそうなのだろうと思うが。
柴田先生の文章は、参加と憲法上の他の自由との兼ね合いの難しさが印象的だった。
植松先生の文章は、他国での事例の紹介が興味深いが、最後に書かれているように、それぞれが必ずしも成功しているわけではない上に、どこまで本邦に移植可能な話なのかについては、慎重な検討を要する点は重要と感じた。
安藤先生の文章は、結局民主政支持になるのは、まあそうなんだろうなと感じた。
特集は、色々考えたくなるタイミングで出たので良かったのではないかと思う。少なくとも一度は考えてみるべき内容だと思うので。 - 講座。
憲法は国会・議員の権能(2)。支出や債務負担に関する話とか国政調査権が民主制の中で持つ意味みたいなのは考えたことがあまりなかった(統治自体あまりちゃんと勉強していないし)ので、新鮮な印象。
行政法の生活保護基準の改定と裁量統制。裁量統制について過去の最高裁判決を踏まえての検討が興味深かった。
民法は契約締結上の過失。ローエコ的な議論はやはり良く分からない。
会社法の決議の欠缺と代表取締役の行為の効力は、面白い議論だとは思うけど、納得できるかというとどうかなあというところ。
民事執行·保全の不動産競売における配当等はこれまで接した経験がない分野の話でそういうものかと思いながら読む。
刑法の犯罪構造の把握における2つの型は、確かに2つの型に類型化できるような気がするが、その2つに分けるのはなぜかというところが良くわからない気がした。 - 演習。
憲法は鵜活。迂闊との洒落かと変に勘ぐってしまった。動物の原告適格の話はグリックマン判決は知らなかったのでやや驚いた。
行政法は公法上の当事者訴訟。先住民の権利を認める議論のための仕組み解釈が興味深い。
民法は譲渡担保等。新法の紹介もあり時宜にかなっているのではないか。
商法は全員出席株主総会。全員出席で招集手続瑕疵も招集権限瑕疵も治癒可能という方が個人的には良いような気がする。
民訴は訴訟上の和解等。和解権限の争いにならないように訴訟代理人の立場であれば気をつけないといけないと改めて思う。
刑法。共謀の射程等。設例が複雑になってくるとパズルめいてくるけどそういうことが実際に起きたりするから難儀。
刑訴。現行犯逮捕あたり。そんな感じだよねと思いながら読む。
労働法は不利益変更。不利益受けた当人は納得しがたいとしてもこういう整理をしないわけにもいかないだろうと思う。 - 判例セレクト。
憲法の孔子廟撤去訴訟は解説での空知太神社事件との差異についての指摘が興味深い。
行政法の国家賠償法2条1項の「瑕疵」と営造物の「本来の用法」は、解説最後に指摘される従前の判断との差異が個別具体的な状況で何らかの判断の差異を生じさせるのかが気になった。
民訴の閲覧制限の件(詳細略)は制度趣旨からすればそうなるはずだと思いながら読む。
刑法のクレカとキャッシュカードの件(詳細略)は、解説での両者の差異の説明に納得。
刑訴の証明予定事実の件(詳細略)は、裁判所が釈明を求めなかったのを不適切とした点の意味についての解説が興味深く感じた。
