図書館で借りて目を通したので感想をメモ。評価が難しいと感じた。
2005年4月から2005年3月までの朝日新聞での連載を単行本化したもの。今年(2024年)になって出たのだが、なぜこのタイミング?と疑問が残ったが、そのあたりの経緯はよくわからない。
ある特定の歴史上の出来事を取り上げて、その日をリアルタイムで体験した有名人の日記のその日及びその前後の記載を引いて、当時の状況を振り返ってみるというもの。本の最初から読むと、年代があっちにいったりこっちに行ったりして、やや混乱する気がした。なぜこのような面倒な形になっているのか、と疑問に思ったが、末尾の「連載を終えて」に説明があった。要するに連載の日付に合わせて、過去の同じ日におきた出来事を取り上げて、それぞれの回を連鎖的につなげようとした、ということのようだ。各回の分量(amazonでの記載によれば1200字)が短いことから、そうすることによって「飽きる」のを防ぐのが著者の目的だったようだ*1。
連載時には「飽きる」のを防ぐ意味で、そのような「しばり」には意味があったと思うが、単行本化する時点では、年代順に並べなおした方が読みやすくなったのではないかと思うが、著者がすでに亡くなられていて、そのような相談ができなくなっているところでは、仕方ないのかもしれない*2。
さらに、著者は同じ人の日記は二度は使わない、という「しばり」も課していた。日記を書き残している人はそれなりにいるし、著者のような、陳腐な言い方だが博覧強記にして情報収集能力にたけた方であれば、そのような「しばり」の下でもこのような連載は成り立たせることが可能だったのだろう。日記がある、というだけではダメで、その時代を感じさせるような記載を含んでいなければ、この連載で取り上げる意味がないから、相当量の日記を集めて、中を見て、連載に「使える」かどうかの見極めが必要だっただろう。編集者の経験もある著者からすれば、そのあたりも含めてそれほど大変な話ではなかったのだろう。
一回当たりの紙幅が少なく、しかもその中で日記からの引用もあるから、著者自身のコメントの入る量は極めて少ない。それでも、要所要所に、著者の物の見方も示されていてそれも面白かった。
