あるとかないとかについての何だか(2024/6/23)

例によって益体もないメモ。過去に同じようなことを言っているかもしれないが、その点はご容赦ください*1

 

企業内法務では、外部弁護士に訊くことが適時にできる限りでは、弁護士の資格は必須ではないと考える。資格があろうとなかろうと能力があって相応以上に企業内法務の業務に対応されている先達がいるのは事実だから*2*3。法曹資格は企業内法務に求められる能力の一定部分が備わっていることを担保するものであることは確かだが、企業内法務に求められる能力は法曹資格が担保しうる能力では足らない部分があるのも、こちらの体感の範囲内では、事実と考える。対人のコミュニケーション能力などは*4、法曹資格で担保されないものの、企業内法務で必要な能力の典型といえるだろう*5。経営層も、業務がそれなりに回っている限りは、資格の有無を問うことが多いとも言えないのではなかろうか。

 

しかしながら、そうした認識を、企業内法務の責任者及びその他の立場で、企業内法務についての人事権を行使する人間が共有しているかというと、疑義の残るところである*6。「素人」目には法曹資格があることが、企業内法務で最も必要な能力を有していることを担保しているものと理解される可能性はあると思われる。それが常に正しいとは、僕は思わないが。僕が法曹資格、特に日本のそれを取るに至ったのも、その辺りの機微が企業内法務を続ける自分に対して不利益が生じるのを防ぐ意味で、資格取得がある意味で一番ストレートな対応だから、というところが大きい*7

 

 

*1:仮に書いていたとしても、その内容に接していない人もいるだろうから(接している必要はない)、再度書いても悪いことではないと...思うことにしている。

*2:その典型が、ユニリーバGCを先般退任された北島さんであることはいうまでもないし、そうした例が他にもあることも言うまでもない。

*3:この点について、「私は、本来何ら資格など必要ない企業内法務の世界で、弁護士有資格者かどうか、という議論が未だに幅を利かせていること自体、いかがなものかと思っています。」という言説が想起されるが、その内容に同意しつつも、その発言の主が、そもそも有資格者で、かつ、既に企業内から出られている点には、こういう言い方をするのが適切かどうかは不明だが、一定の留意が必要と考える。

*4:特に弁護士と依頼者という権力勾配の存在しないところでのそれ。

*5:既に指摘が出ているように、法曹資格がある「にも拘わらず」、企業内法務において業務遂行能力に疑義が呈されるような場合は、資格の分だけ「痛い」と受け取られる度合いが高くある意味でリスクが増すうえ、疑義を呈される原因がコミュニケーション能力やそのほかの対人能力の不足であるという推定もたちやすい、とも考える。

*6:そうした可能性があることは、特にいわゆるJTCにおいては想定しておくべきだろう。

*7:言うほど簡単な対応でないことは、たとえ自分が合格できたとしても、強調しすぎても強調しすぎることはないと考える。仮に突破したとしてもそうした努力が費用対効果に見合うかどうかについて疑義がある点についても同様に強調して強調しすぎることはないと考える。