こんな上司は嫌だ、こんな部下は嫌だ

例によって益体もないメモ。

 

最近恒例の#萌渋スペース ネタであります。くまった先生の仕切りと、直近では、擬古文先輩こと経文緯武先輩の厳しい突っ込みのおかげで好評なのは嬉しい限り。

 

今回のお題は、「こんな上司は嫌だ、こんな部下は嫌だ」というもの。こちらも、企業内法務の管理職でいる時期が長くなったので、ヒラの部下の視点でどう感じたかを覚えているのかというと心もとないが、思い出しながら考えてみることにする。従って、従前のように考えるというよりも思い返す、という色合いが強くなるし、結果的に従前より取り留めなさが増すかもしれない。さらに、具体的な事例は、気まずい話が多いので、流石に書けないが、色々あったということはお察しいただければと思う(謎汗)*1

 

どっちにしても嫌

まずは、部下だろうと上司だろうと嫌というものから始めてみよう。

法令違反とか、相手を人間として尊重しないのは論外だろう。ハラスメントとかの類も駄目なのは言うまでもない。ただ、ハラスメントについては、時代による変遷や、世代等による感じ方のギャップの問題とかもあったりするので、言うほど簡単ではない。とはいえ、この辺りは語りがたいことが多いので、これ以上は触れないでおく*2

それと、次に必要な情報を共有しないというのも挙げられるだろう。と言いつつ、上から下に情報が下りないのと、下から報告が上がらないのとでは意味合いが異なるような気がする。

上から下に情報が下りないというのは、上のモノの見方が、上がそれまでに見たモノに規定される部分があることからすれば、上のモノの見方が下に理解されないという危険につながり、上から見たときに上がってきてほしい情報が下から上がってこないということになるのではないかという気がする。これは、ある意味で上の自業自得という気がする。どういう情報が欲しいか言わずに、忖度できるだけの情報も与えないところで、欲しい情報が上がってくるはずがないからである。

他方で、下から上に情報が上がらない場合について考えてみると、現場レベルの話は、下の方々の方が見ているはずなので、それを上と十分共有できていないと、下の心配していることが十全に上に理解されずに、理解が不十分なところで下す上の判断が、下から見て違和感のない、ひいては、現場レベルで納得感のあるものにならない可能性が生じる。不適切な判断の責任は、最終的には上が負うことになるはずだから、上が対策を講じないといけないところだろう。

さらに、ここまで、上と下という言い方をしたけど、両者の間には、中間というのもいるわけで、中間管理職というやつである。上下に挟まれて、中々大変なところもある。特に間を「飛ばされて」しまったりすると、情報不足で、話から置いてけぼりを食らってしまい、やりにくくなる。そういうことをするのも、それを許容するのも適切とは言い難い*3

もう一つ言えば、柔軟性の欠如も、上としても下としてもやりづらいだろう*4。企業内法務として、柔軟になるのにも限度がある場合があるのは否定しないが、そういう部分の問題になることは寧ろ稀で、他の対応があり得るのに、特定の対応に固執して、その理由が見えないというのが問題となる。

最後に、言語による意思疎通が成立しづらいのは、どういう意味でも、どういう立場でも困るという気がする。発語が不明瞭とか、言いたいことが分かりづらいとか、日によっていうことが変わるとか、こちらの言ったことをそもそも聴いていないとか、自分の言ったことを覚えていないとか、文字でのやり取りを読まないとか、そういうのでは仕事のしようがない。とはいえ、時にそういう人間に仕事の場で遭遇するのも事実である。このレベルの話は手の打ちようがないこともあり、自分で対応できる範囲で対応を考えるしかない。メモを取る、メモを取らせるというあたりが思いつくが、それだけでは対処しきれない気がしている。

 

部下の立場として嫌な上司

次に、企業内法務の管理職について、部下の立場から望むものを考えてみる。

そもそも企業内法務の管理職といっても、企業の管理職として、他の部署の管理職とそれほど大きく変わるところはないのではないかという気がしている。果たすべきは、管理であり、全社の目標達成のために、企業内の役割分担の中ですべきことを果たせるよう、他の部署との調整が必要ならばそれを行い、部下を指導し、目標達成に導くことだろうと思う。その前提としては、部下が安心して働ける環境を整えることも必要で、その中には、部下がミスをしたらフォローをして、必要なところには謝罪をするとか、部下を後ろから撃つような真似をしないということも含まれるだろう。後ろから撃たれる不安で安心して働けないなんてのは最悪というべきである。また、目標達成に導く過程では一方的に命令を伝達して実施させるだけではなく、双方向の意思疎通も必要と考える。

そういう観点からすれば、管理職なのに、管理らしい管理をせず、部下に責任転嫁したりするのは駄目だろう。さらに、担当者レベルには難し目と思われる個別案件に「逃げ込む」感のある中間管理職の上司というのは、部下目線で見たときに、嫌な管理職のありようとして、真っ先に想起されるものという気がする。その上がアクが強すぎて何かを言いづらいとしても、管理をしないのは許容されるものではないと感じる。それと、マイクロマネジメントに過ぎる上司は、信頼されてないの?という疑念を招くし(おそらく程度問題はあってもそうなのだろう)、外資の時に、他の国と顧客の振る舞いとかが異なることに目を向けず、こちらの進言にも耳を傾けず、他国で出来るんだからこの国でもできるはずだ、としか言わない上司は、控えめに言って、嫌だった。さらに言えば、評価については、一体こちらの何をどうしようというつもりなのか不明確なフィードバックも嫌だった。意図不明なフィードバックくらいなら退職勧奨の方がマシだと思う(従うかどうかはさておき。)。

とりあえず、上司の立場になった以上はそういうことのないように下の人には接したいと思うが、正味のところでどこまでできているかどうかは心もとない。

 

上司の立場として嫌な部下

上司としては、部下に望むのは、まずは、出来はさておき、言ったことをやってほしいということだろうし、言われた通りにやるのが困難であれば、それを言ってほしいということではないのかと感じる。やったことの上手い下手はその後だろう。

その際、指示があいまいでよくわからなければ確認してほしいし、何らかの理由で実行しづらいならその旨相談してほしいと思ったりする。確認する前に調べられることは調べてほしいとかも思うが、調べるところで手が止まってしまってスタックするくらいなら、とも思うので、その辺りの匙加減は状況次第だろう。

黙って勝手に先延ばしにしたり、根拠不明の解釈に基づき指示と異なる対応をされると困る。できない、または、すべきではないというのであれば、その旨言ってくれれば、調整するなり、巻き取って他の人に依頼するなり、何らかの対応は可能になるが、こちらに黙ってやられてしまうと手の打ちようがない。そして、その辺りの話をする際に、お気持ちとかフィーリングで言われても、話のかみ合わせようがないので、何らかの理屈付けは欲しいと感じる。法的な理屈付けであることが望ましいが、それが難しいことがあるのも理解不能ではない。

あとは、勉強しようとしないのも困る。他の職種はさておき、企業内法務については、間違いなく、ずっと勉強が必要なので。社会の変化に応じた法令の制定改廃、(裁)判例の進展、これらを受けた学説の進歩を考えれば当然のことと思うが、万人に共有されている認識ではないのも事実。勉強のやり方については、色々なやり方があるだろうし、人によって、どういう学び方が適しているかは変わるだろうから、うるさく言うのは個人的には好みではないが、定評あるものから学ぶようにする姿勢は欲しいと思う。勤務時間外の学習を強制するわけにもいかないので、この点は正面切って言いづらいところではあるが、重要度は高いと思っている。謙虚に学ぶ姿勢のない人間の成長余力は限られていると思うので、そういう人間に付き合うのは、簡単ではないと思うし。

 

追記)視聴者の皆様、くまった先生、経文先輩、ありがとうございました。

経文先輩が今回はエントリにまとめられたので、ご紹介。

tokyo.way-nifty.com

 

*1:事前にネタ合わせでDMをやり取りして色々書いてみたが、表にできないと判断するしかない事例ばかり思い出すのはどういうことなんだろう(謎)。

*2:表でいえないようなことをいくつか思い出した(汗)。

*3:思い出したことがあるが略。

*4:自分が言われていそうな気がするが。