いうほど簡単ではない

雑駁なメモ。

 

昨今の某所での某知事選挙は、かつて初職で新卒後4年半ほど住民だったことのある地域ということもあり、なんだかなあ、と思ってみていた。

 

個人的には、組織のトップが公益通報に適切に対応できないのであれば、適切なガバナンス構造を維持することができないということではないかと思うし、それ故に、そのこと自体で、その人間は組織のトップに立つべき適性を欠いていると評価すべきで、そのような人間はそもそも組織のトップに立たせてはいけないのではないかと考える*1

 

そんなこんなを考えていたら、商事法務のメルマガで、公益通報者保護法の改正の議論の中で、公益通報を理由とする不利益取扱いに対する刑事罰の法定刑について 議論になっているとの情報に接した。今般の件を見ていると、報じられている内容がどこまで正しいかは裏取りをしていないので断言できないとしても、仮に報じられているような事態が実際に生じたときに備えた何らかの歯止めは必要で、そういう意味では、刑事罰を設けるのは必要なのではないかと感じるのだが...そう簡単な話でもないようだ。

 

議論に参加されている山口利昭先生のblogのエントリ*2を見ると、不利益取扱いをどう定義するのかというところの難しさの指摘がある*3。確かに、山口先生がエントリで指摘しているような事例まで考えると、抜け漏れなくとらえるのが難しいかもしれないが、実効性確保のためには必要との指摘には(僭越ながら)同感である。また、同じ研究会の中では山口先生は、探索行為の禁止*4や体制整備義務違反に罰則を付すことも提案されているが、これらについても、納得するところ。こちらの内部通報がらみの案件での少ない経験からすれば、体制整備は、実際に整備する側にとって大変なのは間違いないのだが、それくらいやらないと進まないのではないかとも感じている。

 

いずれにしても、ハラスメント系の行為についての通報がもみ消しなどされずに適切に処理される体制が、広く整うことを願うところである。

*1:こちらと同じ評価をする必要はないとしても、公益通報の重要性を理解できないようであれば、どれほど優秀な人間であっても、企業法務にかかわるべきではないと個人的には思う。

*2:いうまでもなく、当該エントリは先生個人の立場で書かれている。

*3:言及のある第6回研究会議事録では、p23あたりからその議論が出てくる。

*4:こちらにも罰則を付ければ、不利益取扱いの前段階として不利益取扱いの抑止にもつながるのではなかろうか。通報者を探索して特定しない限り、不利益取扱いのしようがないことも多いだろうから。