呟いたことを基に益体もないメモ。
近時物議を醸している某県の知事選挙に関する話について、問題の発端となった通報は公益通報者保護法の「公益通報」の要件を満たしていないという指摘に接した。詳細に事実関係を確認できていないので、件の指摘の当否は判断しきれないが、仮に要件を充足していないとすると、むしろ公益通報者保護法上の「公益通報」の範囲が狭いからそうなっただけであり、要件をもっと広げる(そのことによって保護範囲を広げる)べきではないかという気もする。少なくともそういう議論が出てもおかしくないと思う。
また、仮に「公益通報」に該当しなかったとしても、該当しないから何をしてもいいというような単純な話とは限らず、「犯人」捜しを首長がするのが適切かどうかは別途議論があり得るだろう。
他方で、公益通報該当性を法的知識のない人間が適切にできるかどうかについては疑義があると感じる。こういう言い方がいいかどうかわからないが、特段の知識のない「素人」が「公益通報」該当性を正確に判断できるとは思い難い*1。
公益通報に該当するかしないかで扱いを極端に変えると、該当するかしないかが判断しがたいところでは、通報することについて萎縮的効果が生じたり制度に対する信頼を損ねることになりかねないのではないか。そうなると、公益通報制度自体の実効性を損ねることになるのではなかろうか。通報者が安心して通報できるようにする意味では、少なくとも通報者探しの禁止などは公益通報だけではなく通報一般に広げるべきではないのか、と感じる。仮に「虚偽」の通報で、通報者に対して何らかの制裁を科す必要があるとしても、権限のある人間の恣意的な判断で「虚偽」と断じてしまうことのないよう、第三者の目からみた判断を入れて、事実認定を「固めた」後ですべきだろう。それでもなお、制裁については一定以上の手続的保障が必要になるだろう。更に、そうした手続は、権限のある人間にとって有利・不利な話かで変わるようなものであってはならず、むしろそういう人間から中立的なものになっている必要があるだろう。