必携 実務家のための法律相談ハンドブック 顧問先等企業編 / 第一東京弁護士会 全期会 (編集), 第一東京弁護士会 全期旬和会 (編集)

一通り目を通したので感想をメモ。弁護士が中小企業の顧問になる等したときには、一読して、当該企業に出向くときなどにカバンに忍ばせていくと良さそうな印象。

 

診断士と弁護士(企業内だけど)という立ち位置のはずなので、中小企業の法務もしてっておいても良いのではないかと思って購入していたもの。診断士試験に合格したら使えるだろうと思ったのだった*1

 

中小企業で良く出くわしそうな質問を10分野108個(煩悩の数だけど関係があるのだろうか)に絞って、見開きでそれぞれの問いに対する答えをまとめたもの。見開きの中でもまず結論があってその後に説明があるという形式。まず結論部分だけ説明して、その後で詳細を説明するというのは、質問への回答の仕方としても現実的な気がする。

 

咄嗟の反応という意味では解説を2頁見開きにまとめたというのは適切なのだろう。当然のことながら、その範囲で納まる分量で説明できることには限りがあって、ポイントに絞った解説しかなく、また、参考文献などへの動線も特に引かれていないが、そこは、想定読者が弁護士ということなので、最低限の情報があれば、後は自分で何とか出来るだろうという割り切りなのだろう。かなり広範な内容をここまでコンパクトな分量(それ故に通読も容易)に収めるからにはそういう割り切りは必要だろうし、それはそれで意味があると思う。条文番号くらいはもう少し丁寧に拾ってもらえたらなおよかったとは思うが。

 

10章構成で、1章が顧客・取引対応で、カスタマーハラスメントやクレームストーカーへの対応、消費者法、下請法(今は取適法)、製造物責任法等様々な法律に関する話が含まれている。2章が人事労務、3章が個人情報の労務管理、というあたりは今時ならそういうものだろう。4章が会社に関するもので、法人設立と廃業が含まれているのは納得。5章で事業譲渡・事業承継についてで、親族内承継についての記載はなかなか興味深かった。6章が知財、7章が債権回収、とつづき、8章で不祥事対応が来るのだが、ここで第三者委員会の話まで出るのは、そこまでするのか?と疑問。9章がIT・インターネット。直近だとAIとかも入ったのであろう。10章が最後に税務で中小企業対象の税制の話は、診断士の1次試験で少し接したが、その後接していないので、目が滑る感じだった。

 

5章と10章以外は、中小企業以外でも関係がゼロではないはずなので、中小企業以外の企業に関わる場合でも、企業法務の全体像を確認するという趣旨で目を通すのもありかもしれない。

 

ただし、3年前の本なので、既に古い部分もあるだろうし、直近のトレンド(AIの利活用など)には触れられていないし、海外周りの話も出てこない。中小企業だからそういう要素は不要という事はないと思うのだが。また、「基準日」の記載がないので、いつ現在での記載かが判断しづらく、記載からのupdateの有無を判断するのがしづらいのは、改訂の機会があれば、改善してもらえると良いのではないかと思う。

 

*1:正直頑張り続ければ診断士はいつか合格するだろうと思っていたので。