銀行が貸したい会社に変わる 社長のための「中小企業の決算書」財務分析のポイント / 安田 順 (著)

一通り目を通したので感想をメモ。診断士業務には有用な一冊と感じた。

 

金融機関出身の診断士の著者が、銀行員が中小企業の決算書をどう読むかという点や中小企業の社長が決算書のどの数字に着目し、改善を図るかというあたりについて解説した本、ということになろうか。全体で300頁弱で、文章も読みやすいので、通読も容易。

 

本書は全体で9章構成。第1章は、個々の取引がBSをはじめとする財務諸表にどう影響するかを丁寧に解説している。この部分は「財務3表一体理解法」等とも似ているが、経年変化を見たりする部分などもあるのがより実務的と感じた。

第2章は、長年過剰債務状態にある「ゾンビ」状態の回避策が語られている。売上高支払利息率についての指摘が個人的には印象深い。

第3章は、借入の多い中小企業の決算書の読み方の、特に資金面の解説。借金の仕方についての解説にはなるほどと思う。

第4章は、決算書の業績面からの読み方についての解説。人件費についてのコメントが印象的。

第5章は、財務指標の使い方、というあたり。重要度の高いものに絞ってモニタリングするのが重要そうな気がした。

第6章は、フリーキャッシュフローの重要性。キャッシュフロー計算書の読み方が興味深かった。

第7章は、資金繰りについて。資金繰りの難しさを改めて感じる。

第8章は、実践的なBSの読み方とその改善策。経常運転資金の考え方が、難しい。

第9章は、法人税の基本とタックスプランニングの考え方。税務は税理士さんに相談しながらの対応になるのだろうが、よく考えるとコスト削減になるという点は重要とあたらめて感じた。

 

数字で説明したり、図表でビジュアルに訴えるなどをうまく使って、分かり易くまとまっていると感じた。とはいえ、書かれている内容を自由自在に使いこなせるようになるためには、実践の場での精進が必要と感じた。

また、企業の財務の改善の方向性は見えてくるものの、その改善の為に具体的に何をするべきかというあたりまでは踏み込んでいないので、それは、企業ごとの状況に応じて、都度個別に考える必要があるし、そこが診断士としての腕の見せ所になるのかもしれない。そのためにも座右において、ことあるごとに紐解いて、内容を自分の中で肚落ちするところまで持っていく必要があるものと考える。