海外子会社管理の実践ガイドブック〈第2版〉: ガバナンスから内部統制・コンプライアンスまで / デロイト トーマツ リスクアドバイザリー (編集)

一通り目を通したので感想をメモ。海外子会社管理に関心があるなら、実践できるかどうかはさておき、一度は目を通しておいて損のない内容だと感じた。

 

海外子会社が既に展開しているものの、どこまでの管理ができているかというと疑義があるところがあるのは、JTCでは、割によくあることではないか。事業上の必要から進出だけして、日々の業務に具体的な支障が出ない限り*1、管理部門系の手当ては遅れがちというのも含めて。

 

これまではそれでも何とかなってきたが、それにも限界が出てきた。ではどうするか、というところが問題で、どこからどう手を付けるかは必ずしも自明ではない。海外拠点で最低限の人員しかいないところで、現地がパンクしないように施策を講じていく必要がある。

 

本書は、大手コンサルティングファームの方々が、海外子会社の管理のあるべき姿、目指すべきゴールとそこに向かう一定の道筋について、現状のトレンドを踏まえて解説してくれている。具体的な施策は個別具体的な状況を踏まえて考えないといけないので、一概には論じられないだろうから、本に書くのであればこの程度なのかなという気もする*2。200頁弱とコンパクトな分量なので、通読も容易。

 

個人的に一番印象に残ったのが、グループガバナンスの型として、4つの類型をあげている中に買収子会社活用型があった点*3。残りの3つの型はこれまでにも見たことはあったが初めて接した考え方だったので。対象会社に一定の体制があるのが前提なので、使える状況は限られていると思うが、前提条件を満たすのであれば、それも一つの割り切りかなと感じた。

 

いずれにしても本書の解説も見ながら、目先の状況と遠くのあるべき姿を見据えて、グループガバナンスの向上に向けた施策を考えていくことになろう。

*1:連結決算との関係で、経理系の数字を拾う部分は早期に手当てがされることが多いが...。

*2:実際はコンサルティングを著者の会社に依頼してほしいという本音があるのだろう。拠点や本社サイドのリソースが足りないことが多いだろうから、コンサルティングから伴走型の支援までのニーズも多いのではないだろうか。だからこそこういう本が出たと考えるのもそれほど難しい話ではない。

*3:残りの3つは海外事業部管理方式、事業部門管理方式、地域統括会社管理方式だった。