月刊法学教室 2025年 10 月号

例によって目を通した範囲の感想を、呟いたことを基に箇条書きでメモ。

  • 巻頭言は、なるほど確かに、と思いながら読む。目に見えることをどのように理解するかには、見た目よりも難しい問題を含んでいることがあるという事になるのだろうか。
  • 法学のアントレは、学問を学ぶことと教えることの難しさを感じた。厳しいだけではダメというのは事実だろうが難しいし、教える相手への信頼は必要というのはこちらの経験する範囲でも納得するところ。
  • 一つ目の特集は行政法学習における学説と実務。冒頭のイントロの文章では行政法分野での両者間の乖離の大きさの指摘が印象深い。
    Iの行政計画・行政手続における参加と決定は、某所での某件についての指摘に納得。手続の問題は確かにあるだろう。
    Ⅱ 実力行使・強制の実務と学説は、色々な用語が出てくるけど今一つ分かりにくいなと思っているあたりの現状の整理というところだろうか。もう少し分かりやすくなってくれると良いので話かと思う。
    Ⅲ 「自己の法律上の利益に関係のない違法」—行訴法10条1項の主張制限は、議論の抽象度が高くて、勉強不足のこちらではついて行きづらかった。
    Ⅳ 地方自治体の国に対する出訴権は、行政主体間訴訟については、考えたことがなかったので、問題状況が興味深かった。もう少し整理されるべきなのではなかろうか。
    V 国家賠償法1条の違法性・過失論は、近時の学説の動向を認識していなかった。普段縁遠い分野だからというのが理由なのだろうが。
    特集は学説と判例の乖離の大きさを感じつつも学説側が架橋を試みているようだということは認識できた。
  • 特集2は、裁判所の今が知りたい。裁判所の人が実名顔出しで書いているから「建前」でしかないとみるべきだろうし要するにリクルート活動の一環なのだろう。特段こちらが興味を持つような内容は見つからなかった。人が取れなくて大変なのかもしれないから、この手の企画自体はあっても良いのだろう。学生向け雑誌でもあるし。
  • 講座。
    憲法。内閣と行政機関。おそらくは今後はこのあたりの精査をする必要性がさらに増すのだろう。戦前の軍部大臣現役武官制や帷幄上奏の話が出るのに戦後の文民統制の話が出てきていなかったように見えたのが気になった。
    行政法の行政上の不服申立ては、審理過程での手続の適正を保つための制度的対応が興味深く感じた。
    法と経済学から見た民法判例は、内容も文章も難しい。マスで見たらそういう議論の仕方もあるかもねとは思う。
    会社法の法令違反行為に関する取締役の会社に対する損害賠償責任は、法令のエンフォースメントを取締役の会社に対する損害賠償責任により補うことの是非についての議論が興味深かった。
    刑法は殺人罪の客観的構成要件。人の生と死の定義に関する検討は興味深く感じた。個人的には臓器移植の観点から死の定義を検討するのには違和感が残る。
  • 演習。
    憲法は旗活。〇活でネタが続けられるのが凄い。こういう設例ならこういう議論しそうだなと思う議論が解説でされていた。
    行政法。行政行為の職権取消。設例を見て無理筋っぽいなと感じたが解説を見てもそういう感じ。
    民法。共有。R3年改正後の対応については理解できていなかったので、なる程と思いながら読む。
    商法。利益相反状況下での経営判断原則の適用。解説が簡潔で分かり易く感じた。
    民訴。処分権主義と弁論主義。既に諸々忘れてたことに気付く。訴訟をしないからやむなしかというとどうだろうか(汗)。
    刑法。共犯と過剰防衛。設例のような判例あったよなとは思ったがどういう議論をしていたか綺麗に忘れていた(汗)。
    刑訴。違法逮捕と再逮捕など。こんな議論あったよねと思いつつ読む。
    労働法は懲戒解雇と退職金不支給。懲戒権の根拠について認識していなかった。
  • 判例セレクト。
    憲法の障害基礎年金の件(詳細略)は、宇賀反対意見が多数意見にならなかった理由が知りたいかも。
    憲法性風俗産業の件(詳細略)は、解説最後の指摘に同意。
    行政法生活保護基準額の件(詳細略)は、裁量統制こういう議論の仕方になるよねと思いつつ読む。
    民法の別荘地の管理と不当利得は、判決の射程に関する解説での指摘に納得。
    商法の東電株主代表訴訟は、解説での結論を導く論拠についての指摘になる程と思った。
    民訴の無断録音会話の件(詳細略)は、解説での主張過程における規制についての指摘に納得。
    刑法の自殺目的の飛び出しと過失運転致死は、判決の参考になる点の解説での指摘が興味深く感じた。
    刑訴の長時間の「追従捜査」の適法性は、1回目の「追従捜査」の違法性についての解説での分析が興味深く感じた。