月刊法学教室 2025年 09 月号

例によって目を通した範囲で、呟いたことを基に感想をメモ。

  • 巻頭言は、納得するところが多かった。不祥事の原因が全て個社に帰責できるとは限らないのは間違いないと思う。
  • 法学のアントレは、法令数条文数の増大はある中で何をどう学ぶかの取捨選択が重要になる気がする。
  • 特集は会社法学習における学説と判例·実務。
    冒頭の松井先生の文章は学説と判例·実務との距離の近さの指摘が印象的。
    役員選任決議の瑕疵連鎖は基礎的な点から丁寧に解説があり、分かり易くて良いと感じた。瑕疵連鎖断ち切りの方法についての批判は、なるほどと思うところもあるが、連鎖を放置もしづらいから止むを得ないのではないか。
    裁判での非公開株式の評価は、ローエコだなあと思いながら読む。国税庁方式へ批判が妥当ならば、画一的処理の名の下で採用が正当化されるのかよくわからない気がした。
    取締役の選解任と報酬支給の在り方は、現状の要領の良いまとめというところか。マルスとかクローバックが今後どうなるかが気になるところ。
    取締役会決議と取締役の中立性は、取締役の中立性が問題となる状況が思ったよりも多いことに気づく。単にこちらが不勉強なだけだが。
    閉鎖会社における少数株主の排除と保護は、閉鎖会社の独自性から導かれる要保護性の指摘が興味深く感じた。あまり意識できれいなかったので。
    特集は、不勉強で十分認識できていなかった点を認識できた点で個人的には有用と感じた。
  • 第217回国会主要成立法律は、こんな法律できたのか、と思いながら読む。
  • 判例クローズアップの国公有地上にある宗教的施設の撤去請求は、施設の性格や土地の利用提供の態様に着目する方が良いとの指摘が印象的だった。
  • 時の問題の百条委員会とは何か—地方議会と長の関係のこれから、は件の委員会の位置づけの整理が分かりやすく感じた。最後の指摘も重要と感じる。
  • 講座。
    憲法は行政権。行政権を法律執行という見方が素直な気がする。
    行政法は、情報公開。部分開示の議論は分かりにくいと感じた(どこまで話について行けたか不明。)
    民法。過失責任とその周辺。やはりローエコは苦手。
    会社法株主総会決議の成立。段階を追って説明を丁寧にしつつ、実務についても触れられていて良い。
    民事執行・保全法の考え方は、不動産の収益に対する執行・動産に対する執行。こちらの不勉強と経験値不足もあって、活字を目が滑る感じ。
    刑法は、天然物の無断採取と盗品等関与罪。話がどこにそれていくのかと思いきやきちんと元のところに戻ったり、落ちがついていたりしていて読んでいて面白い。
  • 演習。
    憲法は泡活。とりあえず飲酒の自由とか考えたことはなかったが13条に基づく権利だと思う(謎)。
    行政法補助金行政の争訟手段等。中小企業診断士登録をしたら、関係が出てくる確率が上がる話なのかなと思いながら読む。
    民法は集合動産譲渡担保。設例はまあ、そういう感じだったよねという印象。
    商法は代表取締役の専断的行為と取引無効の主張権者のあたり。無効主張権者の範囲の議論が興味深く感じた。
    民訴は提訴前の情報収集とか専門訴訟など。提訴前の照会等の制度はあっても、証拠保全が依然として有用という指摘には納得。
    刑法。侵害行為終了後の防衛行為と共犯というあたりか。共謀の射程についての議論はなるほどと思う。
    刑訴。事件単位の原則。余罪捜査を理由とする勾留延長の可否のところは、すっかり忘れてるなと思いながら読んだ。普段使わない知識は忘れても仕方がないのだろう(汗
    労働法。配転命令。設例の事実関係が、会社側が頑張っているとしても、なかなか微妙に作ってある気がした。単身赴任で月1回の帰省手当では不足と判断されそうな気がした。
  • 判例セレクト。
    憲法の都立病院新生児取り違え調査請求訴訟は、判断は納得だけど、今更何ができるのかが気になった。
    行政法の子ども・子育て支援法17条の差押禁止債権該当性は、制度の趣旨や建て付けからすれば、そういう判断になるよなと思いながら読む。
    民法の聴力障害のある年少者の逸失利益は、解説も含め納得。解説最後の指摘も重要と感じる。
    商法の招集通知の瑕疵と裁量棄却は、違法の重大性についての解説での判旨批判に納得。
    民訴の保育事業者債権に対する強制執行の可否は、行政法で取り上げたのと同じ事件。直接支払制度のある他の制度への影響についてのコメントが興味深く感じた。
    刑法の不作為の死体遺棄の成否とその終了時期は、こういう争い方になるのか、と思いながら読む。
    刑訴の第1審の有罪判決をした裁判官が当該被告事件の控訴裁判所のする保釈に関する裁判に関与することの適否は、人数の少ないところで判旨の考え方が貫徹できるか気になった。