例によって目を通した範囲について、呟いたことを基に箇条書きで感想をメモ。
- 判例速報。
会社法の譲渡制限株式の売買価格とプロ・ラタ価値は、まあ、そうなるのかもなあというところ。
労働判例の某事務所(事務所名は伏せる)事件は、よくまあこういう訴訟を提起するよなとしか思えなかった。
独禁法の「準じる届け出」の件(詳細略)は、こういう届け出の仕方があることも認識してなかった(汗)。面倒そうな話で対象企業内の法務担当者の方々も頑張ったものと思われる。
知財の脚本の原案の変更についての同意は、微妙な事案なんだろうなと感じる。
租税の障害福祉サービスにおける工賃の仕入税額控除該当性は、解説での障害福祉サービスの特殊性への配慮の観点からの疑義に納得。 - 〔鼎談〕電磁的記録提供命令の創設は、横田先生の奮闘ぶりが印象的。要するに検討が不十分なまま立法されたということなのだろう。ただ、それが刑訴の研究者の対談者(件の過程にも関与)に伝わったのかは、読んでいて、控えめに言って、よくわからなかった。ロクでもない条文とその運用と相まって、日本国外のサーバーに置いておいた方がまだマシという事態が生じかねないのではないかという気すらした。
- 書評。
宇賀克也著『行政の実効性確保――行政代執行を中心として』の書評は、本書のすごさを素人にわかりやすく説明しているという印象。
髙宮雄介ほか編集代表『企業法務のリーガル・リサーチ』の書評は、まあ、そうなるのかなという印象。 - 海外法律情報。
中国の治安管理処罰法の改正は、いかにも、という感じ。
イタリアの2人の母親を認める憲法裁判決—生殖補助医療法の一部違憲は、一つの考え方としてはあり得るのだろうとは思う。 - 連載/民事訴訟手続のデジタル化のこれからのフェーズ3における運用の検討(1)—電子申立て①は、いかにもお役人の書く文章という印象。
- 連載/地方創生に向けた官民連携の法実務の地方創生とインフラ整備(2)—スポーツ・文化インフラは、スポーツとか文化の公共性というものをどう考えるかが大事なのではないかという気がした。
- 連載/広報と法務の法務が広報の力を借りる場面(2)—訴訟対応②は、著者のように危機管理プラクティスに特化していることの強みやそれゆえの知見の制約に自覚的なのが好印象。他方でそれ以外のスタンスで臨むようなケースについての分析があるのも有用。
- 判例詳解
特別地方交付税の件(詳細略)は、判例の射程や残された課題の分析が興味深い。
第二次孔子廟訴訟上告審判決は、今回の判決までの訴訟経緯の解説や判断枠組みについての分析が興味深い。総合的判断というのはやはり宜しくない気がする。
重度聴覚障害児の死亡逸失利益の件は、抽象的損害計算による権利保障へのパラダイム転換は妥当なんだろうなと思いながら読む。 - 時の判例の即時抗告の件(詳細略)は、判旨のようになるのが妥当だよなと思いながら読む。
- 判例研究。
経済法の検索連動型広告等に係る技術提供の制限は、評釈での公取の説明に対する疑問の提示になるほどと思う。
元取締役の会社に対する損害賠償責任と退職慰労金請求は、評釈での判旨IIへの批判は確かにそうだよなと思いながら読む。
預金払戻拒絶による遅延賠償と金融機関の免責は、評釈での預金者の本人確認にかかるリスク分担のあり方の検討が興味深い。
一人株主兼取締役に対する役員報酬支払いと分配可能額規制は、評釈最後での指摘に納得。一人株主兼取締役だと何でもあり感があるが、それでもものには限度があるということになろうか。
労働判例の休業補償給付における「労働することができない」の意義は、判旨の準則への評釈での批判に納得。
特例子会社で働く知的障害者の精神障害発病の業務起因性は、評釈も含めて、平均的労働者の判断の難しさを感じる。
租税判例の財産評価基本通達6項に基づく財産評価と平等原則は、評釈での裁判所の時価についての考え方の分析が、興味深く感じた。
渉外判例の名誉毀損準拠法と外国法不明の場合における事案処理は、評釈での、抵触法レベルで原理原則に戻って判断枠組みを検討すべきとの指摘に納得。 - 最後に特集。
イントロの短い文章のあとは座談会。今回の改正の鳥瞰というところだろうか。司会の佐久間先生が司会に徹さずご自身の意見を述べられているのも印象的。改正は現状の問題への対処の足がかりにはなりそうだけど、行政側の体制整備や標準規約の改正など改正に付随してまだやるべきことは多そう。
集会の決議の円滑化は、個々の改正案の正当化事由の解説が興味深く感じた。必要性は理解できるような気がするけど、ここまでして弊害が出ないかが気になった。
区分所有建物の再生の円滑化は、区分所有者の費用負担の問題で作った制度が利用されることは少ないのではないかとの見方に同意。共用部分中心主義への転換の必要性についての指摘にも納得。
団地・被災区分所有建物の再生の円滑化は、制度ができたのは悪いことではないのだろうけど、意思集約も難しそうだし、前稿で触れられたような費用負担の問題は同様にあるだろうから、どこまで使われるのか、正直よくわからないと感じた。
特集は、区分所有建物を所有することに起因するリスクがあるということを実感した。二重の老いへの対処は法律だけでは無理という気がした。
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