ジュリスト 2025年 04 月号

例によって、呟いたことを基に目を通した記事の感想を箇条書きでメモ。

  • 判例速報。
    会社法デッドロックの状況にある二人会社の解散請求の可否は、解説最後での指摘になるほどと思う。そうであれば請求を認めるのもあり得るか。
    労働判例の有期・無期労働者間の基本給格差の不合理性と無期転換後の格差の違法性は、この判決の意義についての解説に納得。
    独禁事例の他社へのデータ移転を禁止する行為が取引妨害とされた事例は、取消訴訟での争点の指摘は興味深い。個人情報はこういう使い方ができるという悪い見本という気もした。
    知財のAIの発明者該当性—ダバス事件(控訴審)は、立法論で対応すべきというのは確かにそうなんだろうなと思う。裁判所が解釈論で立法論を待つまでの間を何とかしていい話かというとそういう話ではないような気もするし。
    租税の公益法人等から普通法人へ移行した場合の有価証券の取得価額は、ややこしくて話について行けず。
  • 海外法律情報。
    ドイツの2024年の妊娠葛藤法改正と人工妊娠中絶法制のこれからは、基本権同士の衝突を含むこともあり、先行きも読みがたい難しい状況にあることがわかる。
    アメリカのサブスクリプション契約規制を強化するFTC規則は、解約規制のところ以外は知らず、思った以上に広範に規制強化になっているが、内容はあり得るかなという印象。
  • 書評。
    太田達也著『犯罪被害者への賠償をどう実現するか――刑事司法と損害回復』への書評は、評者が指摘する疑問点とその解決策のアイデアを興味深く感じた。
    『三村量一先生古稀記念論集 切り拓く――知財法の未来』への書評は、評者自身の経験を踏まえた三村先生への敬意の示し方が好ましく感じられた。
  • 連載/地方創生に向けた官民連携の法実務は行政財産の活用。これまであまり縁のなかった分野だが、いろいろな選択肢があるのが興味深い。
  • 連載/家庭裁判所の現状と展望は面会交流の間接強制。縁のない分野なので、こういう状況なのか、と思いながら読む。
  • 連載/広報と法務の広報・PR領域に潜む法的リスク・コンプライアンスリスク(1)—“炎上表現”に関するリスクは、炎上表現の分析と対応策が興味深い。”企業の場合は、「もっとこうすれば良かった」という「謝りどころ」をあえて探し出した上で、早期の火消しのためと割り切って、謝罪するというのも一案である。”という指摘には納得。
  • 時論。図書館のデジタル「貸出」と著作権は、フェアユースの考え方自身は興味深いが予測可能性がどこまで保たれるのか気になった。本稿最後での問題提起には賛成。
  • 新法の要点の民事訴訟手続のデジタル化に向けた民事訴訟規則の改正は、インハウスで訴訟を自分ですることはないので、ふーんと思いながら読む。法定審理期間訴訟手続はどの程度使われるのか。ラフジャスティスのリスクを取るメリットがどこにあるのか気になった。
  • 時の判例
    年金の件(詳細略)は、問題となる額が支給額全体に比して大きくないようなので、裁量論の世界で争うのはそもそも厳しい話ではなかったのか、という気がしたがどうだったのだろうか。
    業務災害に関する保険給付の支給決定の取消訴訟と事業主の原告適格の件(詳細略)は、2つの説の検討が興味深かった。採られなかった説の方がぱっと見には自然に見えてしまったのだが(汗)。
    宗教法人との不起訴合意等の有効性の件(詳細略)では、後からできた法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律の定めのこの件の判断枠組みへの反映のさせ方はなるほどと思った。
  • 判例研究。
    経済法の都市ガスの受注調整の件(詳細略)は、解説以前に元取締役1名が7000万弱を損害賠償で支払っているのに驚く。
    商事判例研究の生命保険に係る死亡保険金請求権と民法903条の類推適用は、評釈で指摘されている遺留分の性質からすれば判断としてはそうならざるを得ないのだろうと感じた。
    合同会社の任意退社に関する定款規程の解釈は、そもそも合同会社についての会社法の規定についてなじみがないので、そういう規定があるのか、と思いながら読む。
    三者割当増資の不公正発行該当性が争われた事例は、認定されている事実から見える意思決定過程の稚拙さからすれば不公正発行と当然いわれるよなと思う。
    時季変更権行使における年休利用目的の考慮の可否は、評釈での判旨の理論的な問題点の指摘になるほどと思いつつ読む。
    未確定の団交応諾命令の不履行を理由とする損害賠償請求の可否は、議論すべきところを議論せずに済ませた感のある判決の問題点を指摘する評釈が面白かった。
    山門一体型建物下にある参道の非課税境内地該当性は、評釈最後に指摘されている課題の指摘に納得する。
    控訴審による有罪の自判と事実の取調べの要否は判例法理の検討が興味深く感じた。
  • 最後に特集。こちらが諸々こじらせているからか、意識高めで前のめりな「バスに乗り遅れるな」の大合唱という印象。