掲題の展覧会を写大ギャラリーで見てきたので感想をメモ。
最近は資源節約ということで来なくなったが、以前は毎回ハガキが来ていたので足を運ぶことの多い写大ギャラリー。今回は、その創設者で、写大卒業生にして教授だった細江英公氏が昨年亡くなられたことを受けての追悼展。こちらの呟きを見て、興味を持って見に行ってみた。
細江さんというと、VIVOという写真集団の一員だったことや、森山大道さんが上京して助手を務めた方、ということ、三島由紀夫を撮った「薔薇刑」という写真集があるという程度のことしか知らなかった。
会場に入ると、まずは、写大の教授としての側面を示す写真や展示がある。日本の写真を海外に発信し、海外の写真文化を日本に伝えること、後進を育てること、これらに如何に尽力したかが示されている。個人的には、森山大道さんとのツーショット写真やエドワード・ウェストン写真展用に日本に運んだヌード作品を猥褻と判定した税関への熱のこもった抗議文(写大のロゴの入った紙に手書きで書かれているのが良い)が印象深かった。細江ゼミ出身の方の書かれた解説冊子もいつになく力がこもっていて、内容の充実ぶりも含めて驚かされる。
扉をあけて本丸?の展示スペースに入ると白黒写真ばかりがある。黒と白のコントラストがまぶしく感じる。
総じて、銀塩写真(白黒)の可能性を信じ、それを最大限活用しようとした、という感じがした。写真はいずれも精緻な計算のうえに、アングル設定やライティングも含め計算ずくで撮影し、プリント段階でもでもしっかりと計算され、黒がしっかりと締まった感じになっているのが、銀塩のプリントらしく、良い感じであった。
「薔薇刑」では三島由紀夫は単なる素材というかオブジェに近い扱いだが(ご本人もそういう扱いをされることを望んでいたようだが...。)、その眼光の鋭さが印象的だった。抱き合う男女を撮った「抱擁」も男女の肉体の差異を強調する撮り方が印象に残った。また、前衛舞踏家の土方巽を撮った「鎌鼬」では柵の上に佇む土方氏を広角で撮った一枚が、舞踏家の大野一雄を撮った中では釧路湿原で舞う大野氏を捉えた一枚が、それぞれ印象深く感じた。
写大コレクションの中の一部の展示と思われ、写真家としての業績以外の部分の展示の充実がしていてそちらも興味深かったが、写真家としての全容を知るにはおそらく写真が少なかったのではないか。どこかで活動の全容がわかるような回顧展が開かれることを期待したいと思った次第。
最後に写大ギャラリーに上がるところに飾ってあったポスターを撮ったものを貼っておく。
